募金券でつくれる未来

社員との対談

第15回 ファミリーハウス×良品計画 難病の子どもとその家族を支える、
もうひとつのわが家。
第15回 ファミリーハウス×良品計画 難病の子どもとその家族を支える、もうひとつのわが家。

ふつうの空間をつくり、ふつうに接するということ

宮尾:ファミリーハウスのスタッフの方は、どんなバックグラウンドをお持ちの方が多いのですか?気持ちがないとできないお仕事なのは言うまでもないと思いますが、気持ちだけでも難しいですよね。

植田さん:おっしゃるとおりなんです。スタッフは、心理学を学んでいたり、医療、福祉の分野での経験がある者、実社会で経験のある企業OBなどが中心です。とはいえ、知識や技術だけではだめです。利用者さんが医療機関で接しているのは、知識と技術のある専門家集団です。だからこそなのですが、ハウスに帰ってくると、「ふつう」がいいんですね。ふつうであることで、ほっとしてもらえます。

佐藤:そうでしょうね。自分が利用者の立場ならきっとそう感じると思います。けれど、「ふつう」って、逆に高度じゃないですか?

植田さん:そうなんです。ものすごく難しい状況にある方々に対して、いつもと同じ日常を演出し、「ふつう」に接する。これはごまかしがききませんね。本気じゃないとすぐに見抜かれてしまいます。

宮尾:ハウスも、ホテルみたいじゃだめなんですよね?

植田さん:はい。ホテルだと非日常になってしまいますから。いかに「ふつう」のおうちのようにするかに心を砕きます。あ、ちなみに、ハウスでは無印良品の家具や雑貨を多用しています。好き嫌いを選ばないですし、「ふつう」のお部屋にしっくりと馴染みやすくて助かっています。

宮尾:それはうれしいです!ありがとうございます。

佐藤:特別ではなく、日常に馴染むものを提供するのが無印良品なので、そう言っていただけるととてもうれしいです。

植田さん:実は当初から、無印良品さんとはどこか共通するところがある、と思っていたのですが、それなんですね。

めざすのは"ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス"

宮尾:なるほど。共通すると言われて、何だか急にイメージしやすくなりました(笑)。

植田さん:私たちの活動は、わかりやすいようなわかりにくいような活動なんです。提供しているのは安価な宿泊施設のみではないですから。"ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス"でなくてはいけないと考えているんです。奥が深く、まだまだ学びの途上です。昨年はファミリーハウスの20周年ということもあって、ディズニー・ゲストサービス・フィロソフィーという研修プログラムに全国の仲間と一緒に参加しました。その翌日、全国の仲間とハウスのホスピタリティについて話し合う会議を開催し、報告書にまとめさせていただきました。

佐藤:すごいですね。辛い状況にある家族のために安く泊まれる施設って、それは助かるな、と思っていましたが、ここまでのご活動だとは理解していませんでした。考えを改めさせられました。

宮尾:私もです。お話をうかがって初めて、ファミリーハウスさんのご活動の意義を、ちゃんと理解できた気がします。ホスピタリティ・・・確かに深いですね。

植田さん:実はここが私たちの課題でもあるんです。活動の中身と言いますか、その先にあるもの、でしょうか、ハウスは安い宿ではないというところ。それをどう表現し、伝えていくのかが悩ましいです。ファミリーハウスの活動は、この先もずっと続けていく必要があります。そのためには、「利用者さんを大事に思うこころ」を次の若い人たちに引き継いでいかなくてはいけません。ファミリーハウスとはなんなのか、利用者にとってどんな存在であるべきなのか、社会と一緒に、考え、伝えていくことも、私たちにとってのチャレンジです。

対談を終えて

佐藤:私にも子どもがいることも手伝い、感情移入してしまいました。自分の子どもがもし・・・と想像すると泣きそうになります。でも、もしもそうなったとしたら、「ふつう」に接してもらいたいだろうと思います。経済的な部分の軽減がご活動の目的と捉えていましたが、それを含めて、さらにもっと大きな、"安心できる場所"の提供をされていることがわかりました。周囲のお母さんたちにも伝えたくなりました。

宮尾:ご活動に関わる皆さんの思いの強さが伝わってきました。そして、生死と向き合っている人を支えるには、支える側に相当な覚悟と強さが必要だと感じました。試行錯誤しながらも、挑戦し続けている方々を尊敬します。最後におっしゃっていた、次世代を育てることの難しさについても印象に残りました。私も普段から涙もろいのですが、今日のお話にはいろいろ感動するところが多く、思い出してはじーんとしてしまいそうです。

※役職等は対談当時のものです

ファミリーハウスは、2011年2月24日から5月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
834人の方から合計242,600円の寄付を集めることができました。
また、2012年2月24日から5月23日の期間、
1,072人の方から合計220,000円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

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