募金券でつくれる未来

社員との対談

第20回 森のライフスタイル研究所×良品計画 現代人の、ココロに森を、生活に木を。 第20回 森のライフスタイル研究所×良品計画 現代人の、ココロに森を、生活に木を。

募金券 寄付先団体の皆さんの活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第20回は、楽しい森づくり活動を通じて日本の森林の状況の改善に取り組む、森のライフスタイル研究所さんにお話をおききしました。

森を楽しみ、森の恵みに感謝して

かつて日本人の暮らしとともにあった里山は、私たち人間に多くの恵みをもたらしてきました。時代が移り、薪や木炭の使用が減ったこと、安価な外材に押されて国内の林業が衰退したことなどにより、私たちと森林の距離は遠くなっていきました。それまでに人の手で植えられたスギなどの森は荒廃し、CO2の吸収機能も低下しました。きちんと管理された森林から得られる木材は、環境にやさしい素材です。10月は「木づかい推進月間」。森のすばらしさと、資源としての木について、改めて、考えてみませんか。

プロフィール

森のライフスタイル研究所

森のライフスタイル研究所は、森づくりの楽しさを活動のエンジンとすることで、森林を身近にし、その素晴らしさを守る気持ちにつなげていこうとする団体です。実際に森に入って行われる活動を中心に、参加型の企画を数多く主催しています。

森のライフスタイル研究所

  • 竹垣 英信さん

    森のライフスタイル研究所
    遊撃隊員 兼 代表理事所長

    千葉県出身。大学を卒業後、会社員を経て自営業。2003年5月、森のライフスタイル研究所を設立。若い世代と一緒に大型バスで出掛ける、植林や草刈り、間伐などの作業を行なう森づくり体験ツアーを毎月開催している。9歳の娘と6歳の息子の父。

  • 高橋 保至

    良品計画
    生活雑貨部 ファニチャー担当

    2002年、良品計画へ入社。無印良品三軒茶屋へ配属となり、その後2店舗での勤務を経て、2007年に泉北パンジョの店長に着任。以降、2つの店舗でも店長を務め、2011年より現職。主に、ストレイジ(収納)関連の商品企画を担当。1歳の娘の父。

  • 小山 裕介

    良品計画
    生活雑貨部 企画デザイン室

    京都出身。武蔵野美術大学インダストリアルデザインコース卒業後、玩具メーカーにて商品企画やプロダクトなどデザイン関連の業務を経て、 2007年に良品計画へ入社して、現職。主にファニチャーや子供用品の商品企画、デザインを担当。1歳半の娘の父。

日本の国土の67%が森林。だからチャンス!?

チームを組んで歩きながら
森のフィールドへ

高橋:森のライフスタイル研究所さんは、あちこちで活発に森づくりの活動を行っているんですね。しかもどれも楽しそうです。代表の竹垣さんの肩書は「遊撃隊員」だし、ノリが一風違うような・・・(笑)。

竹垣さん:あ、ほかの環境団体さんと、という意味ですかね?ノリは違いますね。始めた動機も不純でしたし。何しろ森林なんて言葉は僕の辞書にはなかった。大学も商学部ですし。

小山:動機が不純、なんですか?(笑)。

竹垣さん:逆に純粋と言えばすごく純粋ですけど、思い立っちゃったんですよね。「なんか街に緑が少ないな、木を植えたいぞ」って。極めてシンプルに。

小山:はぁ・・・。

竹垣さん:それまで僕は、自分で事業をやっていたもので、そこそこリッチな生活ができるくらいだったんですよ。でも、ふと思い立っちゃって。B型ですからね。森林の専門家を探して「木を植えたいんですけど、どこにだったら植えられますか?」と尋ねたら、日本の国土の67%は森林で、むちゃくちゃ荒廃しているから、そこに手を入れればいくらでも植えられるって、教えてくれたんですよ。

高橋:それがきっかけですか。

竹垣さん:なんかすごくチャンスがあると思ったんです。だって国土の67%ですよ。「よーし!植えるぞ~!」って燃えましたよ。なぜ日本の森林が荒廃しているのか、そこに至るまでどういう経緯があったのか、解決のためにはどういうアプローチが良いのか、そういうことは、活動していく過程でどんどん情報も入って来るし、勉強もして、動きながらうんと考えました。まったくゼロからのスタート。そうこうしているうちにかれこれ10年です。

高橋:立ち上げは2003年ということですから、拡大しながら継続してきている。すごいですね。今の活動のスタイルには、やはり、試行錯誤の結果たどり着いたんですか。

「正しさ」と「楽しさ」で、森づくりの常連をつくる

竹垣さん:よく言っているんですけど、森づくりとか、環境の活動って普通に「正しい」ことだと思うんです。でも、やっぱり、正しいだけじゃ一部の人しか続けられないということがここ数年でわかりましたね。だから僕らは「楽しい」ことをエンジンにしようと。自分らも楽しいほうがいいですしね。

小山:「木を植えよう!」と燃えている意志は満足させられましたか?

竹垣さん:そうですね。今は状況がたぶんよく見えてきたので、人間が植えたいからではなく、困った森をどうしていくか考えるわけですが、それにしてもいっぱいあるんですよ。山火事で里山がなくなっちゃったとか、森を伐りひらいて造ったけれど廃業しちゃったスキー場の跡とか、今だと津波で流された海岸林だとか。放置しておくのは当然良くない。だけれど経済的な面から放置された森林は山ほどある。言い換えれば、プロではできないけれど僕らみたいな団体であればなんとかできる。企業さんの支援や個人からの支援を結集させればなんとかなるかもしれない。僕らは自分たちに我(が)はなくて、森と森の持ち主、地域の人にとってどうしたら一番いいのか、相談しながらやっていっています。

小山:竹垣さん、ふつうに立派な人じゃないですか!

竹垣さん:いやいや、「環境NPOとして天下をとる」という私的な野望もありますから、まだまだですね。

高橋:あはは。面白いですね!

小山:「楽しい」をキーワードに、具体的にどんなことをしているんでしょうか。

竹垣さん:一回の活動は、だいたいバス1台で、参加人数は60名がマックスです。それくらいが、ホスピタリティが行き届く限界の人数なんで。山でがっつり働いてもらった後、お楽しみのバーベキューとか、温泉とか、皆さんずいぶん盛り上がりますよ。自分らはサービス業を自認してます。

小山:きっと、盛り上げ方が上手なんでしょうね。バーベキューや温泉は楽しいけれど、それ自体がうんと凝ったイベントというわけではないですし。

竹垣さん:たまに凝ったこともしますけど、やっぱりね、お楽しみイベントが森づくりの活動に勝るようなプログラムだと、それはそれで、不思議と良くないんですよ。最初は皆さん、「バーベキューとか楽しそう」と言って参加するのですが、終わってから、そこだけが際立って楽しかった!という印象になると、リピートしないものなんです。

高橋:それは興味深いですね。経験してみないとわからないことですから。