募金券でつくれる未来

社員との対談

第20回 森のライフスタイル研究所×良品計画 現代人の、ココロに森を、生活に木を。 第20回 森のライフスタイル研究所×良品計画 現代人の、ココロに森を、生活に木を。

目標50年!ひとり一人が息長くかかわる

竹垣さん:森づくりって、そもそも何十年とかかる息の長い活動である必要がありますから、リピートしてもらわないといけないと思っているんです。ぶっちゃけ、1回きりなら企画なんて何でもいいんですよね。でも、森に長くかかわってもらいたい。その日の活動の終わりには、「今日はこんなことが達成できたから、皆さん素晴らしい!例えば、この下草刈りという地味な作業をなくしては、50年後にここに森はありません」なんてことも、ちゃんと伝えるのが大事です。本当のことですし、それで皆さん、達成感を得て満足してくれるから。正しいことだけ押しつけてもお腹いっぱいになっちゃうし、楽しいだけでもダメです。

小山:皆でやれば楽しそうですが、個人としてずっと続けていくというのはハードルが高そうですね。

竹垣さん:森づくりの活動を主催する団体って、全国に3千以上あるんですよ。たいがい、参加者の平均年齢が50歳以上ですね。うちは20代が半分です。50年関わってもらう戦略ですから。あと、女子率が高いのも特徴です。おひとり様参加もけっこう多く、合コンみたいなノリで来てくれる人たちもいますね。現在まで、実に3分の2の人がリピートしてくれていますよ。

高橋:すごいじゃないですか!

竹垣さん:ちょっと面白いのは、アンケートなんかを見ても、どうやらボランティア精神で来ている人はそう多くないらしいということ。最初チラシを作るのに「森林ボランティア募集」と書こうと思ったのですが、字数の関係で「森林ツアー」にしたらウケて、それ以来ボランティアというのはNGです。

高橋:そうなんですか。意外な感じもしますね。だけどそれだけのリピート率ということは、参加者がそれぞれに、リピートしたくなるだけのものを持って帰っているということですよね。

竹垣さん:森そのものの力と、黙々とした作業で無心になれるような作用と、皆でワイワイと、それに達成感。それらの総合力ですね。やってみたらわかりますよ!

小山:確かに、どんどん興味が出てきました。行ってみたいです。

木材が由来する森の原体験をつくりたい

竹垣さん:いろんな人が参加していますが、例えば家具職人のようなモノづくりの人たちも、あと、飲食のお店でこだわった木製品を使っている会社の人たちも来ますよ。自分たちの扱う素材がどこから来たどんなものであるのかに興味を持つ人が増えているんじゃないですかね。

高橋:それはすごくわかります。私たちのように、つくって売る側だけでなく、買う側、お客さまもそうだと思います。だってそこにストーリーがありますから。

小山:野菜とか、「どこそこの農家の○○さんが、こんな農法でつくったものです」というのが増えました。知らされた方が安心ですし、なんだか美味しく食べられる。木材はまだまだですが、関心の持ち方としては、同じ傾向にあると思います。

高橋:無印良品でも、日本の木をどうやってもっと取り入れて行こうか、常に考えています。主にコストのこととか、難しい点が多くて、実現しきれていませんが、なんとかブレークスルーしたいんです。

竹垣さん:そうなんですよ。安価な外材に押されて国産材が...という話はもうずっと長いことされていますが、僕から見ていると、日本の森の所有者や林業のサイドにも問題はあると思いますね。マーケットと直接つながっている人材が少なくて、商売が上手くない。付加価値をつけて売る、ブランドをつくる、といったほかの業界では当たり前のことがなかなかできていないと思うんです。それに、例えば自分の森の木を原料にした製品が、無印良品で売られていると、うれしいじゃないですか。地域活性にもつながるはずなんです。そうなれば、地元愛や自分の所有する森への愛情もあがると思うんです。

小山:それができると本当にうれしい。できることなら国産材を使いたいです。ずっと、そう思ってますから。

竹垣さん:実はね、僕らの活動の目的も、落としどころはそこに近いんです。「国産材を使おう」と。でも、国産材を使うと環境にもいいんですよ、とか、今月は「木づかい推進月間」です、とかね、言われても響かないのは、ひとえに原体験がないからだと思うんです。農業の話も出ましたが、構造は同じです。漁業もそうですね。今の子どもは、魚が切り身で泳いでると思ってるという話がありますが、まさにあれですよ。現代人は、完成品でしかものを見ないでしょ。自然の中で生きている木の感触や、森の中の空気、伐採したときのにおい・・・そんな世界に触れた経験のない人たちのほうが多いのに、理屈ばかりで大切さを説いても限界があるんじゃないかと思うんです。

高橋:だからその原体験を持つ人を増やす活動をしている!

竹垣さん:そうです。今はそう、思っています。

人と森が共生していた時代を経て

高橋:確かに、森の存在って、実際の距離以上に遠いかもしれませんね。日本も昔は里山文化があって、暮らしの中に森があった。そこでまさに持続可能な利用のしかたをしていたわけですよね。

小山:今はたいていの人が森とは無縁だと思って生きてる。登山とか、アウトドアでの利用はあっても、資源としての利用という意味では普段意識もしませんね。

竹垣さん:そうなんですよね。かつては森に人が関与して、共生していたと思うんです。やっぱり昔は木材の採算がそれなりにとれると計算して、日本中でせっせと木を植えたんだと思うんですね。特に戦後ですから。しかし、今、資源としての利用がなくなったから・・・つまりは商売にならなくなったから、手入れされない森が荒廃して、いわゆる環境の面だけではなく弊害が出てきちゃったんです。花粉症なんかもそのひとつですし、動物の害もですね。昔は森と人里の間にちゃんと緩衝帯があったんですよ。手入れがされなくなって緩衝帯もなくなってしまった。

小山:昔は動物たちも、森から緩衝帯まで来ると、「この先に行っちゃまずいな」ってわかったんですね。

竹垣さん:そうそう、双方それで成り立っていた。毎年、熊が人里に降りて来たとか、騒ぎになって、野生動物の保護か人の生活か、みたいになりますが、もともとそうした二者択一の問題ではなかったんですよ。対症療法的なことしかできなくなっていますが、本質的には構造が変わっていかないと解決しないと思います。

高橋:竹垣さんの楽しそうな活動の背景には、いろんなことが隠れていることがよくわかりました。

竹垣さん:いや、一朝一夕には解決できないことばっかりで。でもそうも言ってられませんからね。もっともっと活動を広げて、世の中にインパクトを与えられるようにがんばりますよ!

小山:環境NPOとして天下をとる野望もありますしね。

竹垣さん:そうですよ。ひとまず日本一に(笑)。本気です!

対談を終えて

高橋:祖父は1年間森にこもって観察、研究するような学者でした。祖父も、竹垣さんのようなセクターの人たちと恊働できたら面白かったかもしれません。学問的な知識も社会に必要ですが、等身大で語ることって、どんなことを伝える上でも大切なので、竹垣さんのおっしゃるような「原体験」を持つ人が増えると、自然とそういうことができてくるのではないでしょうか。特別なこととしてではなく、ふだんの生活の中で、森や木に心を寄せられるようになりたいです。

小山:竹垣さんの言うことは、環境の難しいうんちくとはぜんぜん違って、気取らなくて、シンプルで、共感しやすかったです。実は僕らもすぐに難しく考えてしまうところがあって、「これは無印良品らしいのか」という思考に、変にはまってしまうことも多いんです。竹垣さんのお話を聞きながら、もっと直球で、本質的なところから出てくる発想を大切にしないといけないな、と感じました。なんだか勇気もわいてきました!

※役職等は対談当時のものです

森のライフスタイル研究所は、2012年8月24日から11月25日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
96人の方から合計38,600円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

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