環境への配慮
廃棄物管理と資源循環
基本方針
良品計画グループは、1980年のブランド創生以来、「素材の選択」「工程の見直し」「包装の簡略化」の3つの視点でものづくりを続けてきました。 地球環境や生産者に配慮した素材を選び、すべての工程において無駄を省き、本当に必要なものを本当に必要なかたちでお客様に提供することが、廃棄物を減らし地球環境の負荷軽減につながると考えています。
そのために、商品や店舗資材、その他事業活動に関わる物品を対象に、開発の段階から使用後までの一連の活動で、資源の効率的利用と廃棄物の削減を推進し、循環型経済の実現に貢献します。その実現に向けて、良品計画グループ、サプライチェーン、お客さま、それぞれの視点に立脚し、リデュース、リユース、リペア、リサイクル等の活動を積極的に推進し、商品や資材のライフサイクル全体において環境負荷の低減を図ります。
また、自社グループから排出される廃棄物の削減はもとより、原材料の調達からものづくり、商品の販売、そして販売後までのライフサイクル全体において、廃棄物の発生抑制の責任があると認識しています。商品や店舗の開発段階から廃棄物ゼロを意識し、サプライチェーンへの働きかけやお客さまとの協働を通し、廃棄物の発生抑制、リユース、リサイクルなどを推進します。また、環境に配慮した廃棄物処理を徹底します。
目標
良品計画グループは、商いを通じて新しい価値を創造することで、社会へ貢献していくことを目指します。
具体的には、プラスチックの廃棄物を最小限に抑えるため、2030年までに包材や資材の脱プラスチック100%とリサイクルを前提とした製品設計100%を目標としています。また、バージンプラスチックの使用を削減し資源循環を推進するため、販売したプラスチック製品の回収に積極的に取り組み、2030年までには100%再利用することを目指しています。
管理体制
環境マネジメント体制に従って管理・推進しています。
リスク・課題認識
良品計画では、主に「良品計画」・「サプライチェーン」・「社会/地域」の3つの切り口で廃棄物におけるリスク・課題認識の把握を行っています。
店舗・事業所・物流センターから出る廃棄物、もの作りの工程における廃棄物、廃棄される梱包材・商品資材の削減を継続して行うことが課題となっています。
また、社会的な課題として、廃棄物の増加は、廃棄物処理による温室効果ガスの排出や埋め立て処理を含む最終処分場の切迫などに影響しています。廃棄物の問題は社会に影響を及ぼすものであり、衣料品・雑貨、生活雑貨、食品を取り扱う良品計画にとっても懸念すべきことと認識しています。
取り組み
衣料品のアップサイクル、リサイクル(ReMUJI)
お客様に長年ご愛用いただき回収した商品や、ものづくりと流通の過程で発生する販売できなくなった商品をためておき、藍色に染め直し、新たな価値のある商品に再生させる取り組みです。
2015年3月オープンの無印良品 天神大名の店舗で販売をスタートし、2024年8月末時点で日本国内の26店舗にて販売をしています。
「染めなおした服」に加え、「洗いなおした服(染料が入りづらい化学繊維などの服を洗ったもの)」や、「つながる服(服と服をつなぎ合わせてリメイクしたもの)」も一部店舗限定で販売を開始しています。ReMUJIとしてアップサイクルが難しい衣服や繊維製品の一部は、様々な原料として再生し、資源の循環を進めています。
プラスチック製品の回収、リユース、リサイクル
良品計画では、循環型事業への転換を目指し、2020年7月に使用済みのPET素材のボトルの回収を始めました。使い終わった化粧水や乳液のボトル、また「自分で詰める水のボトル」の買い替えの際などに空のボトルを店頭で回収しリサイクルすることで、プラスチックごみを削減し、石油由来原料の有効活用につなげています。
そして2023年2月からは、収納用品やダストボックスなど、幅広くプラスチック製品を回収しています。破損の有無にかかわらず回収し、種別ごとに仕分けした後、基準を満たすものはメンテナンスし中古品として再販売、満たさないものは粉砕・洗浄のうえ再生原料として無印良品の商品にリサイクルしています。
リサイクルを実現するためには、回収量が必要です。2024年8月期からは、より多くのお客さまに活動に参加いただくために、「MUJI CYCLE※1 商品回収キャンペーン」を定期的に開催しています。それまでは衣料品の持ち込みにご協力いただいたお客さまに限定していたMUJI passport マイルの付与を、プラスチック製品にも拡大し、さらにキャンペーン期間中は通常の3倍となる3000MUJIマイルをプレゼントしました。結果2024年8月期のプラスチック製品回収量は、前年度の3倍以上となる約115t※2に達しました。
今後もコミュニケーションや施策の強化を通し、より多くのお客さまとともに循環型社会を実現していくことを目指します。
※1無印良品の一部商品を対象に、お客さまから不要になった商品を店舗で回収し、原料・リサイクル商品として活用するリユース・リサイクル活動
※2 プラスチック製品回収量の算定方法を見直したため、2023年8月期より回収量を更新しています。
マイバッグやシェアバッグの利用推進
プラスチック製のレジ袋を廃止し、紙袋のみにすると同時に、お買い物でご利用いただけるマイバッグの種類を拡大し、お客様にマイバッグのご利用を呼び掛けています。日本国内の無印良品全店においてマイバッグの利用を推進するため、商品ご購入の際にレジ袋をご辞退いただいたお客様を対象に、MUJI
passportマイルを付与しています。
加えて、大きなサイズの商品やまとめ買いに便利なシェアバッグ「再生ポリプロピレンバッグ」をデポジット150円でご利用いただけます。ご不要になった際にはお近くのお店にお持ちください。デポジットをお戻しいたします。
パッケージ素材、陳列資材の見直し
地球資源の循環化および廃棄物削減を目指して、商品パッケージや売場陳列用資材の素材を順次見直しています。例えば、プラスチック製が一般的な靴下やストールの陳列用フックを、2019年春夏商品から再生紙を使用したものに変更しました。下着やエッセンシャルオイルなどパッケージを必要とする商品は、プラスチック原料を中心としたパッケージから、無くす、もしくは再生紙などの代替素材へと可能なかぎり変更を進めています。
加えて、プラスチック製が一般的なタグを止めるピンを、2021年秋冬商品から再生紙を含むFSC紙を使用した紙製タグピンに順次変更しています。強度を保つために、紙に撚り(ねじり)をかけ、タグを止めるピンとして使用できる仕様にしています。
2022年秋冬の商品からは紳士・婦人肌着の全商品も紙ハンガーへと変更し、紙ハンガー・フックの回収およびリサイクルも開始しています。回収した紙ハンガーや紙フックは、工場で溶解して紙に再生したのち、一部は当社商品の紙ハンガーや、他社の古紙製品に活用されます。これまでご家庭でごみとなっていた資源の循環を図ります。
目標 | 主なKPI | 2021年8月期の取り組み | 2022年8月期の取り組み | 2023年8月期の取り組み |
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包材や資源の 脱プラスチック 100% |
衣服・雑貨、生活雑貨、食品それぞれの包材・資源を脱プラスチック化したアイテム数の割合
(衛生・品質安全上プラが必要なアイテムは除く) |
衣服・雑貨 14.0% 生活雑貨 13.2% 食品 PETボトルから缶ボトルに切替 |
衣服・雑貨 74.8% 生活雑貨 47.0% 食品 一部店舗にてコーヒー豆、ナッツなどの量り売り展開 |
衣服・雑貨 96.8% 生活雑貨 64.7% 食品 一部包材に再生プラスチックやバイオマスプラスチックを使用 |
プラスチック削減量 (従来のプラスチックを使用した包材と比較した場合の削減量) |
衣服・雑貨 52t 生活雑貨 算定中 食品 213t |
衣服・雑貨 59t 生活雑貨 算定中 食品 251t |
衣服・雑貨 104.8t 生活雑貨 60.7t (スキンケア用品の詰替パウチ発売による削減量) 食品 292t |
「もったいない市」の展開状況
使用するには問題ないけれど、製造・流通過程におけるわずかな傷や汚れ、色味や染め具合など、規格外のため販売できなくなった商品があります。そのまま廃棄をしてしまうと、せっかくの資源を無駄にしてしまいます。無印良品は、廃棄により資源を無駄にするのではなく、このような商品を集めて販売する「もったいない市」を展開しています。
2021年2月に「無印良品 銀座」よりスタートし、2024年8月期は25店舗で開催しました。
2022年7月からは無印良品のネットストアでも「もったいない市」のページを開設し、新古品の販売を始めました。2023年1月からは中古品の販売も開始しています。
給水機の設置
プラスチックごみを削減する取り組みの一環として、2020年7月1日(水)より無印良品の店内に給水機を設置し、店舗での給水サービスをスタートしました。
この給水機は、水道水を使用しており、マイボトルを持参すれば、誰もが気軽に飲料水を詰めることが可能です。店内に給水機を導入することで、ペットボトル入りの飲料を新しく買う代わりにマイボトルを持参される方が増え、環境や健康について考えるきっかけとなることを目指しています。
また、無印良品では「自分で詰める水のボトル」を販売しています。無印良品に設置した給水機での利用はもちろん、ご自宅やオフィスでも気軽にご利用いただくことで、ペットボトルを消費することのない「給水」という行為が新しい日々の習慣になることを目指しています。「自分で詰める水のボトル」の発売と合わせて、不要になったボトルの店頭での回収もスタートしています。回収した商品はポリエステル原料にリサイクルすることで、プラスチックごみを削減し、石油由来原料の有効活用につなげます。
紙の使用量削減の取組み
無印良品(上海)商業有限公司(以下、上海オフィス)では、自発的に手を挙げてくれたメンバーが集まってオフィスのリノベーションや働き方について話し合う、オフィス改善プロジェクトを推進しています。
プロジェクト内で「印刷した紙の二次利用を促進できないか」という意見が出たことを機に、インクを消すことで紙を再利用することのできるプリンターを2017年7月から導入しました。その資料は本当に印刷すべきかどうかを都度考え、上海オフィスメンバーの資源に対する意識を高めるきっかけとなっています。
一人ひとりの気付きを大切にし、小さな取組みも全員で真剣に考えることで、意識や行動の変化につながると考えています。
再生素材の活用~コットン、ウール等~
本来なら捨ててしまう、生産過程から出る端切れや余り糸を、原料として再生し、再生コットン、再生ウール入りの商品として販売をしています。
再生素材を活用した衣服や生活雑貨の商品を今後も次々に誕生させ、廃棄物の削減、資源の循環に向けて取り組んでいきます。
~再生ウールの取り組み紹介~
素材を無駄にしない
ウール製品を作るには、裁断などの工程でどうしても端材が出てしまいます。本来ならば捨てられてしまうものですが、これらを集めれば、もう一度ウールとして再生することが可能です。無印良品は、ものを無駄にしない、昔ながらの日本の暮らしの精神にもとづいて、再生ウールいう取り組みを行っています。
手間をかけて、再生
ウールを再生するには、羊の毛を生地にするのと同様に手間ひまがかかります。集めた端材は、丁寧に色ごとに仕分けられ、生地を細かく刻み、繊維状へと整えられ、糸へと仕上げられます。ウールの産地、尾州を中心とした日本の工場の高い技術と、連携によって、質の高い再生ウールへと生まれ変わります。
~再生ウールができるまで~
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1. 再生ウールの原料を分別
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2.裁断してワタ状にする
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3.紡績
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4.製織
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5.生地のシワを取り、風合い、硬さを調整
行政との取り組み
地域・コミュニティとともに社会課題に取り組むべく、行政との連携を積極的に行っています。店舗が主体となり、家庭で余っている食べものを集め、必要な方へ届けるフードドライブを全国の複数店舗で行っています。また、廃棄物削減活動として京都市が掲げているごみ半滅を目指す「しまつのこころ条例」に京都市内の一部店舗で参画しています。今後も行政と連携し、廃棄物削減に向けて活動します。
廃棄物管理に関するデータ
容器包装リサイクル法への対応
良品計画は、容器包装リサイクル法が定める特定事業者として、循環型社会の実現に寄与することを目的に、毎年販売した製品の「容器」「包装」の重量を把握し、再商品化委託料を公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に収めています。
特定家庭用機器の再商品化等実績報告
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づき、良品計画が2023年度(2023年4月1日から2024年3月31日)に再商品化等を実施した、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の総合計の状況は以下の通りです。
(1)特定家庭用機器廃棄物の再商品化等委託台数・重量・再商品化率 *右にスクロールしてご覧ください
品目 | テレビ (ブラウン管) |
テレビ (液晶/プラズマ) |
冷蔵庫・冷凍庫 | 洗濯機・衣類乾燥機 |
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指定引取場所での引取台数 | 14台 | 34台 | 8,997台 | 7,037台 |
再商品化等処理台数 | 17台 | 33台 | 9,147台 | 7,025台 |
再商品化等処理重量 | 366kg | 509kg | 536,310kg | 282,819kg |
再商品化重量 | 273kg | 441kg | 432,663kg | 266,230kg |
再商品化率(重量比率) | 74% | 86% | 80% | 94% |
(2)材料別再商品化等実績(施行規則47条第1号に基づく報告)
製品の部品または材料として利用するものに有償または無償で譲渡しうる状態にした場合の当該部品及び材料の総重量
*右にスクロールしてご覧ください
部品及び材料名 | テレビ (ブラウン管) |
テレビ (液晶/プラズマ) |
冷蔵庫・冷凍庫 | 洗濯機・衣類乾燥機 |
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鉄 | 44kg | 220kg | 200,797kg | 124,181kg |
銅 | 6kg | 5kg | 9,008kg | 5,237kg |
アルミニウム | 0kg | 17kg | 5,255kg | 6,403kg |
非鉄・鉄など混合物 | 10kg | 18kg | 68,158kg | 24,429kg |
ブラウン管ガラス | 127kg | - | - | - |
その他の有価物 | 86kg | 181kg | 149,445kg | 105,980kg |
総重量 | 273kg | 441kg | 432,663kg | 266,230kg |