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社員との対談

第2回 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン×良品計画 ~4月7日は世界保健デー~
予防可能な病気で命を落とす子どもたちは、
年間800万人以上。
第2回 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン×良品計画 ~4月7日は世界保健デー~ 予防可能な病気で命を落とす子どもたちは、年間800万人以上。

募金券 寄付先団体の皆さんの活動を良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第2回は、子ども支援の国際NGOのメンバーとして、予防可能・治療可能な病気で多くの子どもたちが命を落とす現状の改善を訴えるグローバルキャンペーン『EVERY ONE』を展開中のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの堀江さんにお話をお聞きしました。

世界保健デーについて

「世界保健デー」は、国連の専門機関であるWHO(世界保健機関 )の憲章が効力を発した1948年4月7日を記念して設けられた日です。憲章では、健康は、基本的人権のひとつであるとされています。
現在、年間800万人以上の5歳未満の子どもたちが予防可能な病気で命を落としています。国連ミレニアム開発目標(MDG)※では、2015年までに国際社会が達成すべき具体的目標のひとつとして、5歳未満児の死亡率を1990年の3分の1に削減するとしています。しかし、現在の進捗状況では、目標が達成されるのは2045年になってしまい、その間にも多くの命が失われてしまいます。

※ミレニアム開発目標(MDGs):2009年の国連ミレニアム・サミットにおいて合意され、貧困や飢餓の撲滅、HIV/エイズ等疾病の蔓延防止、初等教育の普及など、2015年までに国際社会が達成すべき8つの目標を掲げている。

プロフィール

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現されている世界を目指し活動する、世界最大級の国際NGOです。29ヶ国の独立した組織がパートナーを組み、世界120の国と地域で活動を展開しています。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

  • 堀江 由美子さん

    セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
    法人連携部 兼 事業部キャンペーン担当マネージャー

    カンボジア駐在員としてNGO事業運営の経験後、2002年に入局。海外事業運営、財務総務、法人連携などを経て、現職。2児の母親。

  • 武内 健治

    良品計画
    企画室長

    1996年良品計画入社。各地の店長やエリアマネージャー、売場開発担当、卸売担当などを経て、現職。2児の父親。

  • 永澤 芽ぶき

    良品計画
    品揃開発担当

    1995年良品計画入社。下北沢店勤務。その後、品質管理担当に配属。ISO事務局、販売本部、商品部を経て、現職。2児の母親。

子どもの命をめぐる格差は、依然深刻です

武内: 5歳の誕生日を迎えられない子どもたちが年間810万人もいる。日本の年間の全出生数の7~8倍だそうですから、どれだけ恐ろしい数字かわかります。国や地域によって、かなりの格差があるのだと思いますが・・・。

堀江さん: 5歳未満の子どもの死亡率は、南アジアで13人に1人、最も深刻な状況にあるサハラ以南アフリカでは7人に1人です。日本が250人に1人であることを考えると、格差は歴然です。実際に、5歳に満たない子どもたちが亡くなるケースの97%が、途上国で起きています。

永澤: やはり、衛生状態が悪かったり、貧しくて栄養が不足したり、といった原因が多いのでしょうか。

堀江さん: 直接的な原因としては、子どもだけではなく、多くの女性が命を落とす原因にもなっている出産直後のトラブルや、肺炎、下痢、マラリアなどの病気、間接的には、おっしゃるように、栄養不良や、汚染された水などです。背景にはやはり、貧困のほか、脆弱な医療体制、女子教育の欠落、また紛争なども含まれます。貧しさということで言いますと、一国の中でも、貧困家庭の子どもの亡くなる率は富裕家庭の子どもと比較して2~3倍といった国もあり、ここにも格差が表れています。

永澤: 国連で合意された、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の3分の1にするという目標と現状とでは大きな開きがあるとのことでしたが、有効な対策がないのでしょうか。非常に大きな課題なので、実現に向けてこれをすれば良い、といった単純なものではないのかもしれませんが・・・。

政治が動くことで救える命も少なくありません

堀江さん: 例えば、出産前後のトラブルは、母親が定期的に診察を受けたり、出産時に助産婦が介助したりすることで防ぐことができます。感染症も、ワクチンや治療薬で防げるケースがほとんどで、いずれも低コストで有効な対策をはかることができます。その国の政治が決意を持って取り組めば解決できる問題です。実際に、ネパールやバングラデシュは改善が進んでいます。ですから、国際機関や私たちのようなNGOは、母子保健の施策が脆弱な国に対する現場での活動と、先進国・途上国における活発な政策提言および一般市民に理解と参加を促す啓発を併行して行っています。セーブ・ザ・チルドレンも関わった政策提言の最近の成功事例では、世界の最貧国のひとつであるアフリカのシエラレオネで、昨年医療費が無償になりました。

武内: なるほど。政治的な意思決定があれば解決可能なのですね。セーブ・ザ・チルドレンさんのような団体がよく政策提言を活動の柱の一つに据えている理由が、なんとなくわかってきました。支援が必要な人たちに対する直接的な活動のみでは変えられないんですね。

堀江さん: 現実に現場で命の危機にさらされている人たちがいる以上、それに対応した直接支援ももちろん重要です。ただ、それも、私たちのような外部の組織が永続的に担うことは不可能ですし、担うべきものでもありません。ですので、例えば、高度な医療にアクセスしづらい環境でも、最低限の、医療に準ずる行為を行える人材を育成することや、妊産婦、赤ちゃんのケアを当事者や地域で行うための正しい知識を広めるような活動に力を入れています。基本的な考え方として、活動を現地の人材で担っていけるようにするというのが前提です。スタッフも、大半を現地の人材でまかなっています。現地のスタッフが数百人にのぼる拠点もありますが、日本人の駐在員は多くの場合1人です。