募金券でつくれる未来
社員との対談
第4回
ACE×良品計画
~6月12日は児童労働反対世界デー~
世界中で7人に1人。児童労働はなぜ起きる?
募金券 寄付先団体の皆さんの活動を良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第4回は、児童労働の問題に取り組む日本のNGO、ACEさんにお話をおききしました。
- 児童労働反対世界デーについて
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6月12日は、「児童労働反対世界デー」です。児童労働をなくすことを世界に呼びかける日として、国際労働機関(ILO)が定めました。2010年5月にILOより発表された最新の児童労働者数は、2億1,500万人(5歳-17歳)です。これは、世界の子どもの7人に1人にあたります。7人に1人の子どもが、学校で学んだり、子どもらしく遊ぶ時間と、それによる思い出を、労働により奪われているのです。
プロフィール
ACE
ACE(エース)は、児童労働の撤廃と予防に取り組む日本の国際協力NGO。当時学生だった現代表の岩附由香氏が、児童労働の現実を知り、仲間に声をかけて1997年に発足。インドとガーナをベースに、子どもを危険な労働から守り教育を受けられるようにする現地プロジェクトを実施するとともに、日本における啓発活動、政府や企業への提言活動、ネットワークやソーシャルビジネスを通じた問題解決の活動を行っている。
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岩附 由香さん
ACE
代表97年学生時代にACEを立ち上げ、以後代表。組織運営と、政策提言、ネットワーク、ソーシャルビジネスを担当。趣味はテニス。
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大伴 崇博
良品計画
衣服・雑貨 雑貨担当カテゴリーマネージャー2000年に良品計画入社し、店舗勤務を経験後、2004年衣服・雑貨部雑貨担当に配属され、2009年に雑貨担当カテゴリーマネジャーに就任し、現在に至る。1児の父親。
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田中 俊輔
良品計画
衣服・雑貨 紳士担当カテゴリーマネージャー2000年良品計画入社。各店で店長を経験後、2008年衣服・雑貨部DB数値担当課長に就任後、2010年9月より同紳士担当カテゴリーマネジャーに就任。2児の父親。
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児童労働問題への認知は高まってきました
大伴: 近年、児童労働に関する情報を見聞きする機会が個人としても増えたように思います。また、取組みに本腰を入れ始める企業も増えていますね。
岩附さん: はい。活動をしている私たちも、その意味では手ごたえを感じています。私たちがこの活動をスタートした1997年当時に比べれば、理解も得やすくなりました。特に企業さんにとっては、児童労働問題を扱うNGOというのはちょっと怖いイメージがあったようで・・・実際に会うと、ふつうの若い女性なのが拍子抜けだったみたいです(笑)。
田中: メディアで取り上げられることも多くなりましたよね。私も1年くらい前からでしょうか、個人的にも、意識するようになりました。自分自身がふたりの子どもの父親なので、見過ごせない問題だと。一度気になりだすと、いろいろなところで目につくようになりました。情報が多くなってきて、社会的な意識も高まってきているのではないでしょうか。
岩附さん: 意識については、特に日本では、まだ高いとは言えないものの、確実に浸透してきていると思います。「児童労働反対」というと、子どものお手伝いやアルバイトにも反対しているのかと誤解を受けることがまだときどきありますね。児童労働は、18歳未満の子どもが行う、教育や健康的な発達を妨げたり、心身に有害だったり、搾取的である労働を指します。それから、問題の受け取り方として、「遠い国のかわいそうな子どもたちのこと」として、同情はするけれど、自分とは関係はない、という人も多いように感じています。
大伴: 私も今のような仕事をしていなければ、もしかすると同じだったかもしれません。確かに日本に暮らしていると、自分との関連性については実感しにくいですよね。
大人は「仕方がない」と受け入れてしまいがち?
岩附さん: そうなんです。でも、教育というのはやはりすごいもので、学校で途上国について学んでいると、この問題に対しての共感の度合いがずいぶん高いんですよ。子どもは素直なので、ほかの国の子どもが自分たちとはまったく異なる境遇にある不条理に対して、シンプルに疑問を感じるんですよね。「どうしてなの?」「おかしいじゃないか」って。
大伴: 確かに。大人になると、「貧しい途上国では人権が守られないからしかたがない」とか、気がつけば、妙な納得のしかたで受け入れてしまっているかもしれません。企業の取り組みとしてはどうですか。
岩附さん: 私たちはどちらも大切だと思っていますが、企業の場合、児童労働に対して、自分たちのサプライチェーン(製品がエンドユーザーに届くまでの、原材料の生産から始まるプロセス)の問題として取り組むのか、あるいは、社会貢献活動として取り組むのか、それによって、ずいぶん違ってきますね。いずれにしても、企業の活動においては、本業を通じての貢献はもちろん、環境や地域社会に対する取り組みをはじめ、行わなくてはいけないことがたくさんあります。どちらが大事ということではなく、どれも大事で、その中には児童労働問題も含まれることを意識してもらいたいです。
フェアトレードを取り入れること
田中: 特に欧米の企業ではかなり浸透しているのではないかと思うのですが。
岩附さん: 欧米では、1980年代から児童労働の問題に注目が集まるようになり、グローバル企業の製品の不買運動にもつながりました。当時の企業側の認識としては、自分たちが引き起こした問題ではなく、受託生産している途上国の会社の問題だったのですが、消費者側の受け取り方は違いました。みんなが、「だってこの製品、あなたのところのブランドじゃないですか」と思ったんです。それから、多くの企業がこの問題に真剣に向き合い始めました。
田中: 児童労働問題解消への回答である意味合いも含めて、ヨーロッパではフェアトレード商品が多いですよね。国民一人当たりのフェアトレード商品購入額を年間で見ると、多いところで、スイスは5,000円くらい、イギリスは2,000~3,000円だそうです。それに対して日本は約10円という残念な結果と聞きました。実は日本でのフェアトレード商品は、無印良品が一番売っているそうなんです。私たちとしては、そんなに売れている印象はなかったのですが(笑)、根強い人気がある商品もあります。さらにがんばっていかないといけませんね。
大伴: フェアトレードをお客様にどんどん提案していきたい気持ちはあるのですが、一方で、「フェアトレードなので買ってください」とプロモーションすることには、私は少し違和感をおぼえます。企業として、ビジネスとして、製品を開発し、販売しているのですから、それはちょっと違うのではないかと。特定の商品のプロモーションとしてではなく、フェアトレードを日常に取り入れるようなライフスタイルを、間接的に提案できると良いと思っています。