募金券でつくれる未来
社員との対談
第5回
ジョイセフ×良品計画
~7月11日は世界人口デー~
途上国、そして日本の「リプロダクティブ・ヘルス」を考える。
募金券 寄付先団体の皆さんの活動を良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第5回は、途上国の妊産婦と女性を守る活動を行うジョイセフさんにお話をおききしました。
- 世界人口デーとリプロダクティブ・ヘルスについて
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7月11日は、人口50億人を記念して国連が定めた「世界人口デー」です。国際社会は、個人が、子どもを産む時期や回数について、自らが主体的に決めることを基本的権利として認めています。
リプロダクティブ・ヘルスとは、性や子どもを産むことに関わるすべてにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも本人の意思が尊重され、自分らしく生きられること。家族計画はリプロダクティブ・ヘルスに欠かせない要素です。しかし、世界で、これらを享受できるのは一握りの人々であるのが現状です。
プロフィール
ジョイセフ
ジョイセフは、戦後、NGOの立場から、公衆衛生、母子保健などの普及に努めることで、女性の健康の向上に貢献した日本の団体。創設者は國井長次郎。1968年から40年以上活動を続けている。日本での家族計画、母子保健分野での経験、ノウハウを活かした、途上国で妊産婦と女性を守るための活動は、国際的にも評価され、2001年に国連人口賞を受賞した。
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浅村 里紗さん
ジョイセフ
人材養成グループ
プログラム・マネージャー1984年にジョイセフに入団。中南米やアジア地域の数々の人口・リプロダクティブ・ヘルス分野の支援プロジェクトを手掛け、現在、途上国の妊産婦の健康改善、思春期保健、NGOの能力強化等の研修事業のマネージャー。3人の娘(20歳、18歳、14歳)の母。
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神宮 隆行
良品計画
衣服・雑貨部 子供担当カテゴリーマネージャー婦人アパレルメーカーを経て、2006年3月良品計画入社。衣服雑貨部婦人担当を経て、2008年9月衣服雑貨部子供担当、2010年9月より現職。1児の父。
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松木 寿子
良品計画
衣服・雑貨部 子供担当 MD開発大手スーパーを経て、2000年良品計画入社。下北沢店長、アトレ大井町店長、販売エリアスタッフを経て2004年9月より子供担当に配属。1児の母。
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人口問題と、個人の意思と
神宮: 「世界人口デー」と言われても、そこにある問題に対して、いまひとつ実感が持てないのが正直なところです。人口が増えすぎるのが問題だといわれれば、それはいろいろと問題だと思いますが、一方で日本は少子化が問題になっていますし、当事者意識が持ちづらいと言いますか。
浅村さん: そうですね。世界の人口は、人類の歴史が始まって以来数千年、ゆるやかに増加を続けてきたと言われています。それが、ここ百年あまり、とりわけ過去数十年の間にどんどん増加して、「人口爆発」と言われるに至りました。世界的に死亡率が下がりはじめたが出生率は高いままという時期が続いてバランスが崩れ、急激に人口が増えてきたのです。
松木: 死亡する人が少なくなったのは、普通に考えて良いことですよね。それに、人口問題といっても、先進国が、人口が増えている途上国に対して、子どもの数を減らすように求める権利はないですから、難しいですね。
浅村さん: おっしゃるとおりです。ですからジョイセフは、人口問題を数の問題ではなく、一人ひとりの人間を大切にする視点でとらえています。国家が人口抑制を目的に家族計画に強制的に関与した例はあるものの、そもそも出産とは、世界の人口問題のために産む数を控えるとか、国のためにたくさん産もうなどといったものではありません。死亡率が減少してきたと言いましたが、未だに途上国では防ぐことのでる「死」が毎日起きています。今日も約1,000人の女性が妊娠や出産に関わるトラブルのために命を落としています。そのうち、サハラ以南のアフリカの女性が6割近く、3割が南アジアと言われています。
神宮: 途上国では、医療の遅れもあるのでしょうが、たくさん子どもを生む傾向にありますから、女性はリスクが高いですよね。
浅村さん: 課題なのは、多くの場合、妊娠、出産に関してはもとより自分の健康状態全般について当の女性の意思が反映されないことです。伝統や文化的な慣習などについて、私たちが簡単に否定すべきではありません。けれど、女性が、好むと好まざるとに関わらず、妊娠と出産を繰り返し、そのたびに命の危険にさらされるのだとすると、それはやはり大変な問題です。
途上国において、「女性の権利」は命に関わる問題です
松木: 私も経験者ですが、妊娠・出産は、本来幸せなことであるはずですよね。それが命がけなのだとすると、同じ女性として複雑です。幸い私は、安心して子どもを産むことができましたし、それを普通のことだと思っていました。
浅村さん: 日本には現在、妊娠中、出産時そして産後と、継続的なケアが行われる環境が整っています。母子健康手帳もありますし、妊産婦とその子どもを守るためには、この保健システムが非常に重要なんです。
神宮: 子だくさんな傾向にある国では、極端な話、10回目の出産で母親が命を落としてしまうと、お母さんを失う子どもたちもたくさん出てきてしまいますよね。
浅村さん: 実際に、母親を妊娠、出産が原因で失う子どもたちは後をたちません。途上国では、例えば子どもが5人いる母親が死んでしまうと、5人の中で年長の女の子が、赤ちゃんや、ほかの子どもたちの身の回りの世話をすることになります。その子が例えば8歳であってもです。もちろん、学校に行けなくなります。
松木: ここでもやはり女の子が、より辛い役割を引き受けるんですね・・・。