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社員との対談

第12回 100万人のキャンドルナイト×良品計画 ~2月は省エネルギー月間~
省エネから、スローなライフスタイルを考える。
第12回 100万人のキャンドルナイト×良品計画 ~2月は省エネルギー月間~ 省エネから、スローなライフスタイルを考える。

募金券 寄付先団体の皆さんの活動を良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第12回は、夏至と冬至の夜、いっせいにでんきを消すことを呼びかけ、国内外にムーブメントを広げてきた100万人のキャンドルナイトさんにお話をおききしました。

省エネルギー月間について

2月は省エネルギー月間です。今では広くおなじみとなった「省エネ」は、1970年代の、原油の高騰などによる経済の混乱、オイルショックを経て登場した言葉とされています。東日本大震災の後、その意味はこれまで以上に重みを増しましたが、"省エネ=がまんすること"ではなく、省エネなライフスタイルを楽しむ人たちも増えてきているようです。

プロフィール

100万人のキャンドルナイト

100万人のキャンドルナイトは、夏至と冬至の夜8時から10時、いっせいに電気を消してキャンドルを灯すことを呼びかける運動です。「でんきを消して、スローな夜を。」のメッセージのもと、暗闇の中、ロウソクの灯りでゆっくり過ごす提案をしています。2003年にスタートした後、現在までに国内外に広く浸透しています。

100万人のキャンドルナイト

  • 齋藤 史恵さん

    100万人のキャンドルナイト
    事務局(大地を守る会)

    2003年大地を守る会に100万人のキャンドルナイト事務局設置。2010年4月より大地を守る会広報室(当時)に配属になり、100万人のキャンドルナイト事務局担当になる。

  • 小塚 文成

    良品計画
    企画室 環境広報担当

    1997年1月良品計画に入社後、中京エリアの3店舗にて店長を経験。2004年2月広報室(当時) へ配属となり、2005年9月より現職。主に、企業情報や事業活動などを外部へ発信する広報・PR業務を担当。1児の父親。

  • 池内 端

    良品計画
    生活雑貨部 エレクトロニクス・アウトドア担当

    2000年東京造形大学デザイン学科卒業。2006年良品計画へ入社。企画デザイン室海外商品担当を経て、2010年より現職でMD開発。代表的な開発商品としては、サーキュレーター (低騒音ファン)や充電式マフラーなど。

キャンドルナイトという運動

「100万人のキャンドルナイト@増上寺」のイベントを楽しむ親子

小塚:「キャンドルナイトって、最近よく聞くよね」という方も多いと思います。もともとどのような経緯で活動をはじめられたのですか。

齋藤さん:100万人のキャンドルナイトは2003年にスタートしました。この運動のもとになっているのは、ブッシュ政権時の、原発を増やそうという方針に反対したカナダのNGOが、抗議のために自主停電を呼びかけた出来事です。強いメッセージを打ち出していくよりも電気を消して楽しく過ごせるように、私たちは「でんきを消して、スローな夜を。」という表現を用いました。もともと海外の活動にヒントを得たものではありましたが、その後逆に、日本から海外にも広がっていったんです。

池内:いいですよね。「でんきを消して、スローな夜を。」って、押しつけ感がなくて。海外の活動がもとになっているのは初めて知りましたが、夏至と冬至に呼びかけるというのも、日本ならではの季節感を感じられていいなぁと思います。

齋藤さん:そうなんです。夏至と冬至の日に、というのは、自然とのつながりを感じてみてほしいという思いで決められたんです。それに、環境だとか、平和だとか、特定の主張と結びついた日だと、いろいろな価値観の人に参加してもらうためにはかえって障害になるかもしれないので。

池内:そうだったんですか。

キャンドルの灯りがつくりだす不思議

小塚:キャンドルナイト、実は私も実行してみたことがあります。キャンドルの灯りというのは、実にあたたかみがありますよね。自宅のリビングはシーリングライトで明るさを調整できるのですが、同じくらいの明るさでも、やっぱり違います。キャンドルの灯りは心が落ち着くように思います。

齋藤さん:癒し効果があるらしいんですよ。ホタルの光とも周波数が近いんだそうです。

小塚:あぁ、やっぱりそうですか。それに、キャンドルを灯すと、急に非日常を味わえる。あと、そこで食事をすると味覚が冴えてくる感覚もあります。

池内:感覚が冴えてくる、っていうのはわかりますね。日本でも3.11以降、街の明かりが少なくなりましたよね。夜は自転車やバイクの運転に、より注意を払う必要がありました。不便なようですが、人間としての感覚が活きてくる感じも覚えました。ちょっと新鮮な体験でしたね。

齋藤さん:本来の暗さを知ることで、夜が明るいのを当たり前に思っていたことを知りましたよね。

池内:私は自然が好きなので、よくキャンプに行くのですが、電気の明かりが届かないところで仲間と焚き火を囲むと、普段はできないような話ができたりする不思議もあります。キャンドルナイトでそういう話、聞きませんか?

齋藤さん:はい、よく聞きます。改まってということではないのでしょうけれど、自然と、電気や電力の話題になったり、家族っていいよね、みたいな話になったり、世界平和の話をした、という人もいます。

小塚:そうですか!いや、でも、キャンドルを囲むと距離が縮まりますしね。一度キャンドルの灯りで娘に絵本の読み聞かせをしたら、またやってくれとせがまれましたよ。子どももうれしいみたいです。

扇風機で過ごした節電の夏

池内:こうしてお話していると、やっぱり、100万人のキャンドルナイトの活動は個性的ですね。「電気がもったいないから消そう」という啓発目的での呼びかけは昔からありましたけど、そういうのとは違う価値がある。

小塚:環境を守ろうという直接的なアプローチではないところが、逆に若い人たちを動かして、世界にも広がっていったのでしょうね。

齋藤さん:たぶんそうだと思います。キャンドルって、なんだかロマンチックですし、皆さん楽しんでいるんですよね。100万人のキャンドルナイトには、年間700万人以上が参加しているんですよ。

小塚:700万人以上はすごいですね。アナログが新鮮、っていうのもあると思います。震災後、節電の影響で、扇風機やサーキュレーターがいつになく売れましたよね。若い層には扇風機の使い方がわからない人がいたなんてこともあって、カルチャーショックでした(笑)。でも、ハイテクからローテクに移行すると、その分、自分の頭を使うようになるんですね。エアコンを使わなくなると、換気の工夫をしたり、きゅうりを食べると涼しくなるぞ、とか。こうした、昔は当たり前の知恵だったことが、逆に新鮮だったりする。

齋藤さん:そうかもしれません。面白いですね。節電の夏は、無印良品のお客さんの購買行動にも変化を感じましたか。

池内:扇風機が売れたといったようなこともありますが、ひとつ立ち止まって、購入を決める傾向が感じられました。自分にとって、本当に必要か、役に立つか、良い意味で消費に慎重になっているというか。

齋藤さん:それは素敵なことだと思いますが、無印良品さんのようなご商売をしていると、痛し痒しなんじゃないでしょうか・・・。

小塚:無印良品というのは、その名が示すようにもともとアンチテーゼだったりするんですよ。ですから、そのあたりはお客様が見極めていただければ良いのではないでしょうか。

齋藤さん:かっこいいですね!