【続報その3】中国における「無印良品」「MUJI」の商標問題「MUJI」商標:北京市高級人民法院が良品計画勝訴の終審判決

香港企業、盛能投資有限公司(Jet Best Investment以下JBI)が中国で先行登録した「無印良品」及び「MUJI」商標(国際分類第25類:被服履物)に対し、株式会社良品計画が無効取消審判請求を行っていた事案については、これまで中国国家工商行政管理総局商標評審委員会(以下TRAB)ならびに北京市第一中級人民法院(以下一中院)から良品計画の主張を認める審決、判決が出されています。一方、JBIはこれらを不服として北京市高級人民法院(以下高院)に上訴していました。本案(「MUJI」商標)については12月6日に公判が開かれ、僅か2週間後の12月20日付けで良品計画の主張が認められ、JBI商標「MUJI」の取消を命じる終審判決が下されました。

2000年5月8日、良品計画がTRABに取消請求を行って以来、約7年8ヶ月をもって終審判決が出揃ったことになります。(「無印良品」商標については既に10月19日付けで終審判決がだされています。)これにより、良品計画では中国において主要商品群の一つである衣服・履物類について「無印良品」「MUJI」商標の使用が可能となりましたので謹んでご報告申し上げます。

なお、これまでの纏めとして本事案に関する主たる論点と各段階での判断について、以下に簡単にご報告申し上げ、ご参考に供したいと存じます。

1.主たる論点

1.【係争商標はJBIによって創案されたとの主張について】

両商標共、現代中国では通常使用されている形態ではなく、特別な意味を持つ言葉でもないので、独創性が認められ登録要件を備えている。

JBIが主張した「木記」由来説(代表者苗字の偏旁+会社名として一般的な記を付した)はでっち上げである。

JBIの実際の使用態様からみても、「無印良品」「MUJI」(両方とも良品計画が先使用)を組合せており、「木記」は一切使用されていない。

2.【良品計画は挙証期限を超過して証拠提出をしたと言うJBI主張について】

改正前商標法および関連法律においては挙証期限について明確な規定が無い。

立法法上の原則「法は既往に遡及しない」に基づいて請求時点(2000年5月)で有効な改正前商標法が適用されるべき。因って、本主張は成立しない。

3.【JBIは良品計画の香港での活動について不知であり中国において悪意で抜駆け登録したのではないとの主張について】

JBIは香港企業であり、同じ業界に身を置く者同士である。良品計画が既に1991年に香港に出店した事は多くの香港メディアでも報道されている。また、その後良品計画は1994年のJBI中国出願時においては6店舗にも業容を拡大しておりJBIはそれを知らなかった筈はない。また、JBI販売員が「これは日本の有名なブランドだ」と消費者に吹聴するなど登録出願時及び使用時の主観的悪意の存在は明白である。

4.【登録後10年以上も経過して権利が取消されるとすれば市場での商取引の安全性が脅かされるとのJBI主張について】

係争がスタートしたのは2000年5月の良品計画による請求時点からであり、10年云々の問題は存在しない。更に「権利侵害による権利は発生しない」と言うのは鄭成思氏(中国科学院知財研究センター主任、北京大学教授)の名言である。

5.【良品計画の大陸部での商標不使用不登録に関する事実認定と適用法律問題】

TRAB・一中院

<商標法第31条>

「商標の出願は先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で登録してはならない。」 本条において、「使用・一定の影響力とは中国大陸部において」と解されるべきで、良品計画の本条に基づく訴えは成立しない。

<商標法第41条(改正前第27条)>

「・・・または欺瞞的手段またはその他不正な手段で登録を得た場合、商標局はその登録を取消す。」 上記、③の事実認定による主観的悪意は「その他不正な手段」に該当する。 故にJBI商標は取消される。

高院

「一中院による第41条の適用には、一部妥当ではない部分が認められる。他方、第31条の解釈については、不正登録された未登録商標が【使用されていたか、また一定の影響力があるか否かを検討する際に中国大陸部と限定する必要はない】と判断するので、第41条を第31条に差し替えるほうがより妥当と判断する。しかし、本案最終処理には影響を与えない。」

2.本終審判決の意義

TRAB・一中院では主観的悪意が取消理由とされましたが、高院では悪意の認定は否定されなかったものの、第31条の適用がより適切とされました。その上で、第31条の「使用と一定の影響力」について上述の通り伝統的且つ狭義の解釈から一歩踏み出したことは、中国知財保護のステージが上がり、今後の類似裁判にとっても極めて意義深いものです。中国行政司法各方面のご判断 に謝意と敬意を表したいと存じます。

(ご参考)
「無印良品」「MUJI」の商標問題についての関連リリース

上海2号店「無印良品 正大広場」オープンのお知らせ

良品計画グループの「無印良品(上海)商業有限公司」(中国・上海)は、2008年1月10日(木)、上海最大の売場面積を誇る商業施設「正大広場(Super Brand Mall)」に2号店「無印良品 正大広場」をオープンいたします。

正大広場が位置する浦東地区は中国政府が上海を21世紀初頭に国際的な金融・貿易・経済センターにする為に開発した地区で、上海万博が開催される2010年度には人口が600万人に増加すると見込まれています。

「無印良品 正大広場」では、今回の「無印良品」「MUJI」の商標問題の終審判決を受けて、すべての商品タグに当社商標を使用して販売できることになりました。

中国国内はじめ、上海を訪れる世界中のお客様にご来店いただけるものと期待しております。

【「無印良品 正大広場」概要】
店舗名無印良品 正大広場 (MUJI Super Brand Mall)
住所上海市浦東新区陸家嘴西路168号 正大広場 3F 3H03B
電話・FAX電話:021-5047-2338  FAX:021-5047-2337
営業時間10:00~22:00
売場面積598m2(約181坪)
品揃え数衣服・雑貨400アイテム、生活雑貨2,000アイテム
報道関係の方のお問い合わせ
株式会社良品計画 経営企画部 広報課rk-pr@muji.co.jp
以上