募金券でつくれる未来
社員との対談
第45回 ブリッジフォースマイル×良品計画 児童養護施設から巣立つ子どもたちに笑顔を。
社会貢献活動を行う団体の活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第45回は、児童養護施設から巣立つ子どもたちが、安心して社会で暮らしていけるよう支援しているブリッジフォースマイルさんにお話をお聞きしました。
- 課題の多い児童養護施設からの巣立ち
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児童養護施設に入所している子どもたちは高校を卒業すると、施設を出て、一人で生きていかなければならない状況に直面します。社会に出る準備が整っていないのに、頼れる身近な大人もいない。そんな環境の中でも、せまられる自立。育った環境が子どもたちの未来を奪うことがないようにするため、大人たちは何ができるのでしょうか。
プロフィール
ブリッジフォースマイル
ブリッジフォースマイルは、児童養護施設を退所する子どもたちが自立する上で直面するさまざまな問題を解決するために2004年に設立されました。生まれ育った環境に関わらず希望を持って暮らせる社会を目指し、住居支援プログラムやジョブプラクティス、奨学金の提供など、さまざまな事業を展開しています。
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林 恵子さん
ブリッジフォースマイル
理事長1996年、津田塾大学卒業後、株式会社パソナに入社。役員秘書、営業、契約管理、人事などを担当。
2003年、ある研修への参加をきっかけに児童養護施設の現状を知り、2004年NPOブリッジフォースマイルを設立。以降、新しい自立支援プログラムを次々と立ち上げ、民間企業や社会人ボランティアの協力を得て、事業を展開。
家族は、夫、中2長女、小6長男。
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城内 達朗
良品計画
業務改革部 店舗サポート課2006年入社。無印良品そごう横浜店に配属後、静岡店勤務を経て、2008年にアピタ静岡店で店長に着任。その後、3店舗のブロック店長業務を約5年間経験し、2014年9月より現職。現在は、主に店舗業務の業務改善およびMUJIGRAMの作成業務など店舗の後方支援を担当。
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高田 美樹
良品計画
総務人事担当 人事課2000年入社。無印良品 柏ステーションモールに配属後、2003年に都心エリアの店長に着任。その後2店舗の店長経験を経て都心エリアスタッフに着任。中京エリアSV、お客様室を経験し2012年総務人事担当に配属となり現在に至る。主に人事・給与管理とそれに伴うシステム管理、さらに社会保険業務と出産育児に関する制度運用を担当。自身が仕事と育児の両立を体感しながら、社員が気持ちよく働き続ける環境を模索中。
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18歳という若さで自立しなければいけない子どもたち
高田:ブリッジフォースマイルさんは、児童養護施設を巣立っていく子どもたちの自立支援をされているんですよね。ホームページを拝見して、本当に多彩な活動内容に驚きました。
林さん:ありがとうございます。そもそも「自立」といっても、精神的な部分から具体的な生活の部分まで、すごく幅広い範囲のことですよね。したがって、私たちの活動も必然的に幅広いものになっています。児童養護施設という場所へのイメージってありますか。
城内:テレビや小説で目にすることはありますが、実際に建物を見たり、そこで生活している子どもと関わったりしたことはありません。きっと実情とは違う部分も多いですよね。
林さん:あまり知られていないこととしては、児童養護施設にはすごく多様な形態があるんです。そもそも児童養護施設は、家庭で子育てをできないという環境に置かれた子どもたちを育てる場所です。最少規模だと居住者6人に職員3人。逆に、大きな施設では200人くらいの子どもたちがみんなで生活しています。
高田:そんなに違いがあるんですか。では、入所先というのはどういう風に決まるのでしょうか。子どもが「ここがいい!」と決めたりとか・・・。
林さん:残念ながら、当事者である子どもは自由に選べません。基本的には児童相談所の判断で、空いているところに入所することになります。少ない選択肢の中から、たとえば転校しないで済む場合もありますが、非常に稀です。
城内:人数以外にも、施設によってさまざまな違いがありそうですが、いかがでしょう。
林さん:設立の経緯から教育の方針、交通の便や生活環境など、あらゆる部分で違いがありますね。そのため、どこに入所するかで、学べることも大きく変わってきます。共通しているのは、ほとんどの施設の子どもたちが18歳になったら、児童養護施設を巣立って生きていかなければいけないという点です。
高田:元の家族と一緒に暮らしたり、あるいは里親の方と暮らすことになる子どもたちもいますよね。
林さん:現在、子どもが児童養護施設で過ごす平均期間は約4.6年と言われています。おっしゃるとおり、小学校高学年になるタイミングで親元に帰っていくなど、短い期間で卒業していく子どもたちもたくさんいるんです。そのため、私たちが支援する子どもたちは、中学生や高校生など一定の年齢層で、家庭に帰る可能性が低い子どもたちが対象となります。
施設で手が回っていなかった自立支援
城内:児童養護施設を支援しようと思ったきっかけを教えてください。
林さん:きっかけは、あるビジネス研修に参加したことでした。与えられたテーマに沿ってビジネスプランを立てて提案するという内容の研修だったのですが、それでたまたま児童養護施設について調査をすることになったのです。
城内:では、偶然知ることになったんですか。すごく運命的ですね。
林さん:そうなんです。調べていくうちに、児童養護施設を取り巻く厳しい状況を知りました。こんなにも大きな問題が日本にあって、しかも放っておかれたまま子どもたちが次々と社会へ巣立っていることに、いてもたってもいられなくなってしまいまして。
高田:施設そのものや子どもたちではなく、巣立っていく子どもたちの自立支援に特化した活動というのは、珍しいように思います。最初からそういった方向で活動をしよう、と決めて動き始めたのですか。
林さん:最初は何ができるのかがわからなかったので、色々な施設に対して「このようなことが提供できますが、必要ありませんか」というアプローチをしました。ところが、ほとんどの施設からお断りされたんです。後から分かったのですが、外部からの支援を受け入れるのってすごく大変なんですよね。子どもへの支援方針に反する可能性もありますし、支援として必要か、安全かどうかを判断するのにもまた大きな手間がかかってしまいます。
城内:子どもたちのために何かしたいという気持ちはあるんでしょうけれど・・・難しい問題ですね。
林さん:外部からのそういった申し出を上手に生かすことで、子どもたちにできる支援の幅を広げている施設もありますが、人手が足りていない施設の方がずっと多いです。そこで、施設側の手が回っていない部分、職員が不得意な分野や特に助けを必要としているものを色々と考えたときに出てきたのが、自立支援だったんです。
高田:なるほど。児童養護施設のニーズを考えたうえでの活動だったんですね。
林さん:はい。私たちは社会人のボランティアが中心なので、仕事に関する知識や経験を持っています。子どもと遊んだり、メンタルケアをしたり、色々な支援がある中で、自立支援は社会人ボランティアが「得意」を一番発揮できる領域だと思ったんです。