「商い」を通じて社会に貢献する

原材料調達の考え方

世界中の様々な素材を使用している私たちにとって、原材料調達における自然環境、動植物および社会への負荷低減は重要な課題であり、責任であると認識しています。

良品計画では、地球環境や動物福祉、生産者や地域への影響に配慮した倫理的な意味を持つ素材を「環境配慮型素材」としています。これらの素材を積極的に選択し、その調達量を増やすことで、資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現に貢献していきます。

また、事業活動全体における、生態系への影響を把握し、生産者や行政、地域のみなさまとともに、影響の低減と環境の保全に取り組みます。

これからも、使う人やつくる人、自然に対する向き合い方を考え、責任ある原材料の調達を進めます。

自然由来

植物素材

コットン(綿)

コットン(綿)

良品計画は1999年からオーガニックコットンの使用を開始しました。2023年からは「社会や環境に配慮された綿を100%調達する」ことを目標に掲げ、オーガニックコットンに限らず、選択肢を増やす事で安定した原料調達に努めています。

良品計画が社会や環境に配慮された綿として評価したものは、オーガニックコットン※1を中心に、持続可能に栽培されたコットン※2、再生コットン※3等です。

コットンは、農業に適さない乾燥地帯や砂漠気候でも栽培できる数少ない植物です。このうち各国の有機農法の基準に沿って栽培され、環境や生物に大きく影響を及ぼす可能性のある農薬を使用せず、農薬の残留成分が減少するとされる一定期間を経た土壌で栽培された綿が、オーガニックコットンと呼ばれています。

再生コットンは、衣料品の製造工程において生地を裁断する際に発生した端切れやB級品など、通常は捨てられてしまうものを廃棄せずに仕分け、粉砕してワタ状に戻し、未使用の綿と混ぜて再生した素材です。素朴な風合いが特徴です。

※1 Regenerative Organic Certified (ROC) /Global Organic Textile Standard (GOTS) / Organic Content Standard (OCS) など

※2 零細農家の生活・労働環境の改善、産地の自然環境の保全を目的としたCotton made in Africa (CmiA) など

※3 リサイクル原料を使用する国際認証Global Recycled Standard (GRS) /Recycled Claim Standard (RCS) など

リネン(麻)

麻(リネン)

リネンは、少ない農薬や肥料、水で栽培できる環境負荷の少ない植物です。繊維に加え、亜麻仁油などに使われる種、建材や農業資材に使う茎や根に至るまで、余すところなく有効に活用することができます。また、リネンには、短期間で急速に成長してCO2を効率よく吸収するという特長もあります。

ヘンプ

ヘンプ

ヘンプは、世界最古の栽培作物と言われており、日本でも衣類や神社の鈴縄、下駄の鼻緒などに使われてきた植物繊維です。種は、最も消化しやすいたんぱく質と言われ、食料や化粧品のオイルなどに使われ、茎の芯部分は建材や自動車の内装材などに使われています。

また、ヘンプは百日草と呼ばれるほど生長が早く、3か月で約3mまで成長し、CO2を効率よく吸収します。病害虫にも強く農薬をほとんど必要としないため、少ない肥料や水で栽培できる環境負荷が少ない植物です。

通気性と吸放湿性にすぐれ、丈夫で速く乾きます。また、天然の抗菌性や紫外線遮断効果などの機能も期待されています。清涼感があり、着るほどに肌になじみます。

ジュート

ジュート

ジュートは、黄麻(コウマ)と呼ばれる植物です。耐久性の高い特徴を生かして、古くから穀物袋やラグなどに利用されてきました。

熱帯、亜熱帯地方の高温多湿で農業に不向きな湿地で主に栽培され、他の種類の麻と同様に、成長速度が非常に速く、CO2を効率よく吸収します。病害虫にも強く農薬をほとんど必要としないため、少ない肥料や水で栽培できる環境負荷が少ない植物です。

カポック

カポック

カポックは、カポックの木の実からつくった植物繊維です。ポリエステルなどの石油由来の合成繊維がまだ無かった時代に、枕やぬいぐるみなどの詰め物や救命胴衣の中材などに利用されました。主な産地はインドネシアやタイ、インドです。農薬や肥料、水やりがほとんど不要で、樹齢70年以上もの大木に育ちながら、多くのCO2を吸収し続けます。木の実の収穫の際に幹を伐採する必要がないので、環境負荷が非常に少ない素材として注目されています。

カポックの特徴は、その軽さと自然が産み出した機能にあります。カポックの繊維の中心は空洞で多くの空気を含むため、その重量はコットンの1/8ほどで、世界で最も軽い天然繊維と言われています。また寒いときには湿気を吸い、保温を助け、暑いときには湿気を放出し、快適な状態を保つことができます。

木材

木材

良品計画では、木製品・紙製品に対し、クリーンウッド法をはじめ、店舗展開する各国・地域の環境法令に沿って、合法的伐採について調査、並びに自己評価(木材デューデリジェンス)を実施しています。

各種証明書コピー(FSC・PEFC・公的機関発行書類など)や購買・輸送履歴確認書類のコピーを収集し、違法伐採にかかわる木材を使用しないよう努めています。

※100%リサイクル紙、段ボール製品は対象外

動物繊維

動物福祉の観点で、サプライヤー調達方針を定めています。

ダウン(羽毛)

ダウン(羽毛)

ダウンは、飼育環境における動物の「5つの自由」が確保され、かつ強制的な給餌や生きている状態から採取されていないことが第三者機関により厳しく審査、証明された羽毛だけを使用しています。

機能性だけでなく、動物福祉の観点より、使う人、つくる人、そして自然に対する向き合い方を考え、原材料を選択しています。

※動物福祉における5つの自由:①飢え、渇き及び栄養不良からの自由、②恐怖及び苦悩からの自由、③物理的及び熱の不快からの自由、④苦痛、傷害及び疾病からの自由、⑤ 通常の行動様式を発現する自由(出典:農林水産省「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理」)

ウール(羊毛)

ウール(羊毛)

良品計画では動物福祉に配慮したウール、および再生ウールを使用しています。

羊の飼育方法は地域ごとに様々ありますが、自然のままのやさしい飼育方法にこだわり、ノンミュールジングで育てられた羊の毛だけを調達しています(再生ウール商品を除く)。ノンミュールジングとは、特に暑い地域で育つ羊に対して一般的に行われるミュールジング(蛆虫の寄生を防ぐために皮膚や肉を切り取るという特殊な方法)を施さない飼育方法、という意味です。羊毛を購入する際にはノンミュールジングであることを確認し、素材を選択しています。

再生ウールは、廃棄・回収されたウールの商品を粉砕し、再び紡績した素材で、資源循環の考え方のもと使用しています。複数の色が混ざり合った奥行きのある色合いと、素朴な風合いが特徴です。

再生セルロース繊維

再生セルロース繊維

良品計画では、環境に配慮した製造方法でつくられたリヨセルやレーヨンを使用しています。

リヨセルは、成長の早いユーカリ木材を主原料とした繊維です。製造工程時に使用する水と溶媒を99%以上回収し再利用しているものを使用しています。

レーヨンにおいては、ブナ樹木を主原料とした繊維を使用しており、製造工程時にバイオエネルギーなどを積極的に採用し、CO2の排出量を抑え、環境への影響を小さくしています。

石油由来

合成繊維

合成繊維

良品計画では特定認証を確認した再生ポリエステル、再生ナイロン、再生ポリカーボネートなど、再生原料を使用した合成繊維を調達しています。再生原料を使用することで、新たな化石由来原料の使用が減り、環境負荷低減に寄与することができます。再生ポリエステルは主にペットボトル由来の材料を、再生ナイロンはプレコンシューマーリサイクル(糸生産工程で出た廃棄繊維)の材料を、再生ポリカーボネートはウォーターサーバー由来の原料を使用しています。

また、植物由来の成分を20%以上含んでいる合成繊維も積極的に活用しています。持続可能な未来に向けて、植物由来原料の拡大や生分解性素材の開発などを進めています。

その他、原材料に関する取り組み

残糸、残布

残糸、残布

良品計画では、「資源を無駄にしない」という精神が素材の選択において脈々と受け継がれています。2000年には工場で使われずに廃棄される糸を利用した残糸ソックスを製品化し、販売を開始しました。

取引先工場の生産工程で出てしまった残糸や残布を積極的に活用することで、アパレル・サプライチェーンで大きな課題となっている廃棄物についても、その削減に向けて日々取り組んでいます。

国産杉を使用したオフィス向け家具の開発・販売

国産杉を使用したオフィス向け家具

日本は国土面積の67%を森林が占める、世界第3位の森林大国です。

しかしながら、木材全体の消費量に占める国産材の割合は30%ほどにすぎません。

また、管理が行き届かない森林の荒廃も社会問題になっています。

このような日本の森林の環境保全や林業の活性化に向け、良品計画は、国産木材を使用したオフィス用品を展開する株式会社内田洋行と共同で、国産杉を使用したオフィス家具を開発し、より快適で、「感じ良い」オフィスづくりを提案しています。

杉材は基本的に建材として使用され、その余り材は主に割り箸や燃料として使用されています。

余り材を家具として使用可能なパネル状に加工する技術を開発した宮崎県の生産者との取り組みにより、当社のオフィス家具はこの余り材を家具のラインに取り入れています。

手に触れる天板や棚板に杉を使い、構造部にスチールを用いることで強度も担保しています。

木をまるごと有効に使うことで、国産杉の使用用途を拡大しました。

Café&Meal MUJIの素材選び

Café&Meal MUJI

Café&Meal MUJIでは世界中の産地に担当者が直接足を運び、生産者の方々と交流しながら旬の食材を調達しています。また、環境に配慮した農法で採れる食材も積極的に採用しています。Café&Meal MUJI でご提供しているメニューにはアレルギー表示をしています。

メニューは、「素の食はおいしい。」というテーマのもと、自然の恵みを豊富に受けた旬の素材そのものの良さを生かした美味しく身体にやさしい内容です。特に、旬の野菜を豊富に使ったデリメニューは、栄養バランスのとれたヘルシーな食事としてもおすすめしています。