働く仲間の尊重
人的資本に関する基本的な考え方
良品計画は、社員一人ひとりが「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、社会や地域の多様な方々と協働し、良い企業活動を行うことで、「感じ良い暮らしと社会」の実現を目指しています。
これからの時代における真に豊かな社会とは、「環境」・「経済」・「文化」がバランス良く支え合っている社会だと考えます。美しい、豊かな自然や環境が持続可能な形で維持され、人々がそれぞれの有する資質を十分に生かしながら豊かな経済生活を営み、多様なつながりを持って文化的水準の高い生活を送ることができるような社会の実現を目指します。
良品計画はそのために、社会にとっての公益に貢献する事業活動を通じて営利を生み出すことで、公益と営利を持続可能な形で両立させることができる企業体でありたい考えています。
そのような理想を掲げる当社にとって最大の資本は「人財」です。社員が「社会や人の役に立つ」という理念や、自らの夢の実現に対する情熱と志を持って、地域や店舗で主体的に考え、自律的、自発的に行動することを大切にしています。当社が目指すこのような経営のあり方を「公益人本主義経営」と定義し、その実践を担う人財の育成と組織づくりこそが当社の経営戦略の根幹であると考えています。
良品計画が求める人財像
1. 「社会や人の役に立ちたい」という情熱と志:
「おかげさま・お互い様」、自分は人に支えられているという自覚と感謝の気持ち、謙虚さ、人への思いやり、良心、誠実さ。その結果として自然と生まれる、「社会や人の役に立ちたい」、「社会課題を解決したい」という情熱や志。
2. 共感力、当事者意識:
自分の周りの人やお客様、地域住民など、様々な価値観を有する生活者にリスペクトをもって向き合い、その方々の日々の生活や暮らし、そこで感じていることを想像する。それを他人事ではなく自分事として捉えられる共感力(エンパシー)と当事者意識(オーナーシップ)。
3. 商売人意識:
目の前のお客様や地域の方々に喜んでもらい、役に立つことで、売上利益を上げることはよいことであると信じ、継続的な改善や新しい価値を生み出そうとたゆまぬ努力を続ける姿勢。
4. 探究心、知的好奇心:
最良の生活者の視点で、未来の望ましい暮らしやありたい社会の姿を思い描き、模索しつづける探究心。そのヒントになるような情報を、新聞や書物を読んだり、アートを見たり、街歩きをしたり、社外の方々と繋がったりしながら積極的に情報収集をし、考え続ける姿勢、知的好奇心。
5. クリエイティビティ、構想力:
物事を見つめ、ありたい姿とのギャップに気づいたり面白いものを発見したりする力。気づきや発見を組み合わせ、アイディアを生みだし、形にするクリエイティビティ。目前の課題や矛盾を解決し、継続的価値を創出する事業モデルや仕組みをデザインできる構想力。
6. チーム力、共創力:
価値観や課題意識を共有しながら社内外の様々な人々と協力関係を構築し、一人では決してできない大きなことを実現するチーム力や新しいものを生み出す共創力。
7. 行動力、徹底力:
自らやチームで考えたことを実行する行動力。成果が出るまで粘り強く改善を続けながらやり抜く徹底力。
8. チャレンジ精神、前向きさ:
未知の挑戦や困難にぶつかっても、自分を信じて物怖じせずに取り組むチャレンジ精神。何事にも楽しんで取り組もうとする前向きな姿勢。
社員一人ひとりが、お客様や地域の方々と共に、未来の望ましい暮らしやありたい社会の姿を共創する。その結果生み出された商品やサービス、店舗が多くの人々に喜ばれ、信頼され、愛されている。そして、その過程において社員が自ら成長を実感し、幸せを見出すことで、それが次なる事業活動への原動力となる。こうした活動が世界中のあちこちに広がり、社会や地域を少しずつ良い方向へと後押しし続けている――それがまさしく私たち良品計画が目指す姿です。
人財育成6つの柱
「公益人本主義経営」実現に向けての人財育成方針は以下の通りです。
- 当社の理念や価値観を具現化しようという志を有する社員を採用・育成する
- 多様な社員が個性を発揮し、自律的に考え、自発的に行動するために、健全な企業風土を醸成する
- 社員が自分らしく生き生きと、心身共に健康で、安心して働き続けることのできる職場環境づくりを推進する
- 多様な社員の個性と可能性を引き出し、組織としての成果を最大化できるリーダー人財を育成、配置する
- 「キャリアを通じて学び、成長したい」という社員のニーズをサポートする教育研修体系の整備と支援を行う
- 社員一人ひとりの参画意識や挑戦意欲を後押しするための、人事制度の構築と運用を行う
人財育成方針に基づく取り組み事例
1. 当社の理念や価値観を具現化しようという志を有する社員を採用・育成する
当社の理念に共感し、それらを具現化しようという情熱と志を有する社員を採用し、思想、理念、価値観についての教育を行う。それにより、地域や社会の課題に対して共感力や当事者意識を持ち、それらの課題解決やポジティブインパクトの創出に対する意欲を持つ社員を育成します。
主な取組事例:
- 第二創業における、無印良品の思想や理念、価値観などの理念を体系化、教育実施
- 上記理念体系についての社内浸透推進、継続的な対話の機会創出と、社員の動機付け
2. 多様な社員が個性を発揮し、自律的に考え、自発的に行動するために、健全な企業風土を醸成する
多様な個性を持つ社員が互いを尊重しあい、心理的安全性のある環境の下でオープンに議論し、それぞれが自律的に考え、自発的に行動し、目標実現に向かって前向きに楽しみながら働いている、そのような健全な企業風土が醸成されている状態を作ります。
主な取組事例:
- 全社エンゲージメント調査での企業風土の状態を定量化し、その結果を踏まえた継続的改善活動の推進
- 第二創業における理念や価値観を実現するための行動指針の再定義、それについての全社教育推進
3. 社員が自分らしく生き生きと、心身共に健康で、安心して働き続けることのできる職場環境づくりを推進する
社員一人ひとりが、その国籍、出身、年齢、ジェンダー、ハンディキャップ、置かれている環境やライフステージに関わらず、自分らしく生き生きと、かつ心身ともに健康で、安心して長く働き続けられるような環境整備と支援を行います。
主な取組事例:
- 全国津々浦々へ出店を加速させるための、人事制度拡充に向けた検討と導入
- 多様な働き方を実現する制度の拡充に向けた検討と導入(例:チャレンジ型・バランス型制度、カムバック制度、社内公募など)
- それぞれのライフステージを通じて、安心して働き続けることができる支援制度の拡充の検討と導入(例:育児介護休暇、福利厚生制度など)
- 社員の心身の健康保持・増進のための制度や支援の導入
4. 多様な社員の個性と可能性を引き出し、組織としての成果を最大化できるリーダー人財を育成、配置する
多様な社員の個性と可能性を引き出し、会社の目標達成に向けて方向づけ、組織としての成果を最大化できるリーダー人財を継続的に育成すると共に、そのような人財を適材適所に配置していく人財マネジメントを行います。
主な取組事例:
- リーダー育成に向けた、マネジメントスキル強化のための教育整備
- 個店経営と地域活動をリードする店長・コミュニティマネージャーに向けたOJTと、研修を通じた育成
- 外部連携強化、外部との人材交流の実施
5. 「キャリアを通じて学び、成長したい」という社員のニーズをサポートする教育研修体系の整備と支援を行う
ビジネスパーソンとして必要な基礎的なハード・ソフトスキルから、様々な職制やレベルに求められる実践的スキルを身につけるための教育研修体系や、自己啓発支援制度を構築します。意欲のある社員がキャリアを通じて、それぞれのニーズにあった学び続けられる環境を整備します。
主な取組事例:
- 店舗・本部業務の各職制・レベルニーズにあった教育研修体系の整備と構築
- QC/IE(QualityControl/IndustrialEngineering)教育や、プロジェクト推進を通じた課題解決能力の向上と主体性の醸成
- 外部有識者とのネットワーキング等による、外部連携強化、それによる成長機会の創出
6. 社員一人ひとりの参画意識や挑戦意欲を後押しするための、人事制度の構築と運用を行う
目標実現に向け、自律的、自発的に行動する社員や、難易度が高い目標にリスクをとってチャレンジしたり、成果を上げたりするような社員が称えられ、報われるような人事制度を導入します。働くことを通じて成長を実感し、やりがい、幸せを感じられるような環境を構築、整備します。
主な取組事例:
- 社員一人ひとりの能力や挑戦意欲、組織や会社、社会への貢献が評価されるグレード制度、評価制度の導入
- "コオウンド(社員による共同経営)意識"を醸成するための、社員持株奨励制度の拡充
- ストレッチした高い目標に挑戦することを奨励する株式付与スキームの導入
- 各自の主体的なチャレンジとキャリア構築を促す、社内公募制度の拡大
- 地域活動や貢献を推進するための人材交流、兼業なども視野に入れた制度の検討