環境への配慮

生物多様性

基本方針

良品計画グループは、創業以来、自然に配慮した素材を生かしてものづくりをすすめてきました。これは、事業活動と地球環境が密接に関係しており、自然環境や動植物への負荷低減が重要な課題と認識しているためです。世界中の様々な原材料を使用してものづくりを行うわたしたちは、調達をめぐる課題に真摯に向き合い、持続可能な原材料調達を目指します。
良品計画グループは、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させることの重要性を理解し、「昆明・モントリオール生物多様性枠組(KMGBF)」に賛同し、活動が生態系に与える影響を最小限に抑え、生物多様性の保全を推進します。また、生物多様性保全に関する国際基準や枠組みに沿って、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存及び影響を定期的に評価・モニタリングし、透明性をもって開示します。

管理体制

環境マネジメント体制に従って管理・推進しています。

目標

良品計画は、法律などで指定された保護地域からの資源の産出による森林破壊をなくすため、2050年までに、国内で販売しているパーム油、木材、綿を使用した商品については、持続可能な原材料を使用することを目標とします。また、ウール、ダウンについても動物福祉を考慮した原材料を使用します。

パーム油

原産地のトレーサビリティを確保するため、使用状況の調査を定期的に実施します。原産地証明などを確認し、持続可能なパーム油の利用に向けた取り組みを推進します。
また2023年12月より「JaSPON(持続可能なパーム油ネットワーク)」の会員となり、情報収集を行い、将来的な認証付きパーム油の調達に向けて動きを進めています。

綿

生物多様性の保全に配慮し、生産地までのトレーサビリティの確保に努め、持続可能な綿の調達を推進します。環境と生産者に配慮したものづくりをしていきます。

紙・木材

無印良品の商品やMUJI HOUSEの住宅については、使用される木材・紙原料※1の持続可能な調達を目指し、 2030年までに、森林に関する認証材(FSC、PEFC、SGEC)や、森林伐採に関する各国・地域の環境法令を遵守していることが確認できる木材・紙原料の活用100%を目標に掲げています。その実現のため、合法的伐採に関する調査、並びに自己評価(木材デュー・ディリジェンス)を実施し、違法伐採等による森林減少に関わる木材を使用しないよう努めています。
また国内店舗の什器や内装・外装においては、木材産業や林業の安定化への貢献を目的に、国産材・地域木材の活用を進めています。2023年5月には、株式会社良品計画、および株式会社MUJI HOUSEは、農林水産省と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結し、5年間で計10,000㎥を目安とした国産材の積極活用、またクリーンウッド法に基づき合法性が確認された合法伐採木材の利用に努めています。国産木材の活用を促進し、脱炭素社会の実現に貢献すると同時に、各地域の店舗に供給する木材の原木調達と製品加工を各地域で行うことで、地域の木材産業への貢献も目指しています。

※1 ライフサイクルを終えた木材、非木材パルプを原料とした紙、段ボールは対象外

木材の取り組み

店舗什器、内装・外装における地域木材・認証材の活用

「里のMUJI みんなみの里」の里山デッキ

「里のMUJI みんなみの里」の里山デッキ

無印良品の店舗の内装・外装における地域木材の活用に取り組んでいます。もともと木材は、無印良品の店舗の基本を構成する「木・金・土」の天然素材のひとつです。店舗の什器である棚板や壁材、柱などに、木材をはじめとする天然素材を使用することで、長年にわたり味わいのある経年変化を楽しめる店舗空間をつくっています。特に各地域で育った特色ある木材を活用することで、訪れた人が地域の自然資源に思いを馳せるきっかけづくりに取り組んでいます。また店舗から近い製材・加工工場から直接調達し、各地域内で原木調達から製品加工、そして店舗への供給までを行うことで、地域の木材産業へも貢献していきます。
また2024年9月からは、店舗什器への認証材(FSC、PEFC、SGEC)の使用を開始し、責任ある木材の調達を強化しています。

空間設計事業のノウハウを活用した木造店舗

空間設計事業のノウハウを活用した木造店舗 無印良品 唐津

「無印良品 唐津」

2024年9月に無印良品初となる木造店舗を、佐賀県唐津市、大分県日田市にオープンしました。当社では、2023年5月に農林水産省と締結した「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」に基づき、良品計画グループの空間設計事業で培ってきた木材の利用に関するネットワークや技術を活かした、建築物の木造化・木質化に取り組んできました。「無印良品 唐津」「無印良品 日田」の建設においては、グループ会社である株式会社MUJI HOUSEが設計にあたり、「無印良品の家」でも採用している耐震性能に優れた木造ラーメン構造である「SE構法」により、大規模木造店舗を実現するとともに、省エネ・創エネ技術を組み合わせることによって『ZEB』認証※2を取得しました。

空間設計事業のノウハウを活用した木造店舗 無印良品 日田

「無印良品 日田」

無印良品の木造店舗は、従来の無印良品の鉄骨造店舗に比べて、資材の製造におけるCO2排出量を44%※3抑えることができます。なお資材製造から施工、修繕、廃棄・リサイクルまで含めたライフサイクル全体(使用段階除く)では、従来の鉄筋造店舗よりも35%※3抑えることができます。
今後も良品計画グループの空間設計事業のノウハウを生かし、無印良品の店舗をはじめ、建物への木材活用にも積極的に取り組んでいきます。

※2 ZEBはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロかマイナスにすることを目指した建物を指し、今回は4段階ある定義のうち一番エネルギー消費が少ない『ZEB』となります。本認証は、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)における性能評価の認証で、今回の2物件は2024年1月10日に認証を取得しています。

※3 CO2算定ソフト「One Click LCA」を用いた、(株)エヌ・シー・エヌによる簡易算定結果。暫定値であり、今後修正される可能性があります。削減率は建築物1m2あたり。

北海道発祥の「木育」の活動の活性化(無印良品 シエスタハコダテ)

北海道発祥の「木育」の活動の活性化(「無印良品 シエスタハコダテ」)

北海道渡島総合振興局と「無印良品 シエスタハコダテ」は、北海道発祥の「木育」の活動の活性化に向けて、官民協働により相互に連携・協力しながら、木育推進の普及に係わるタイアップ事業に取り組んでいます。2016年4月のオープン以来、毎月ワークショップや植樹等「木育」に関するイベントを行い、「木育」の理解醸成を図ってきました。また「木育」の取り組みに賛同する関係機関との連携も強化しています。

その他の取り組み

絶滅危惧種をモチーフとしたこどもプリントTシャツ

絶滅危惧種をモチーフとしたこどもプリントTシャツ

「無印良品キャンプ場で出会える生きもの」をモチーフにしてきたこども用のプリントTシャツに、新しく、「絶滅の恐れがある生きもの」のシリーズを追加しました。売上金の一部をIUCN-J(国際自然保護連合日本委員会)に寄付しています。こどもたちがTシャツを着ることが、モチーフとなる生きものの保護活動に繋がると同時に、生きものたちの置かれている状況に興味を抱くきっかけとなることを期待しています。