環境への配慮

持続可能な水資源の管理

基本方針

良品計画グループは、原料の生産から製品、商品化に至るまでの過程で、多くの水を消費している責任を自覚し、地球環境への負荷低減に努めます。世界の人口増加や気候変動の影響が深刻化する中で、不適切な水資源の管理は、水不足、洪水や河川の氾濫、水質汚濁といった様々な地域の水リスクをより加速させることとなります。

取水量および水消費量の削減、水質汚濁の抑制・削減・撲滅を通し、持続可能な水資源の利用を推進します。 また、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」を尊重、支持し、水に関する多様な課題を正しく把握し、等しく享受されるべき水資源の不平等という課題に取り組み、ステークホルダーのWASHサービスへのアクセスを支援します。

目標

良品計画は、自社、サプライチェーン、社会や地域などの各領域において、持続可能な水資源の保全に取り組みます。
自社においては、店舗やオフィスのある地域ごとに課題を特定し、抱える水リスクに応じた積極的で効果的なリスク低減活動を推進します。
サプライチェーン全体では、良品計画の理念に共感頂ける生産パートナーとの事業連携を強化し、水使用量が多い生産工程において、使用量の低減を進めるとともに、事業活動が地域や流域に与える影響を最小化することを目指します。

管理体制

環境マネジメント体制に従って管理・推進しています。

リスク・課題認識

良品計画では主に「自社」・「サプライチェーン」・「社会/地域」の3つの切り口で水資源におけるリスク・課題の把握を行っています。特に原料の生産やものづくりの工程における水使用は、水源の確保や工場排水による環境・周辺地域への影響が大きいと認識しています。
また、世界的にみても人口増加、産業の発展に伴う使用の増加、気候変動、水質汚濁など様々な問題が絡み合い、淡水資源の不足が懸念されています。この水不足の問題は、衣料品・生活雑貨・食品を取り扱う良品計画にとってもリスクと認識し、各種取り組みを進めています。

取り組み

水リスク評価の実施

良品計画では、サプライチェーンの事業に関連する地域の水リスクを評価しています。良品計画や生産パートナーが事業を展開する地域において、直面している水リスクに対しては実効性のある取り組みを推進していきます。
2023年8月期には、世界資源研究所(WRI:World Resources Institute)が公開する世界の水リスクを緯度・経度から評価するツール「Aqueduct(アキダクト)」を利用して、自社拠点と主要サプライヤーの水リスクの調査を実施しました。また「CDP水セキュリティ」に初めて回答し、自社の課題を認識しました。今後、水リスクの高いエリアにある取引先工場を中心にさらなる実態把握を進め、改善へとつなげていきます。

本部・店舗での節水

良品計画では、本部及び店舗の水使用量をモニタリングしています。モニタリング結果は継続的な節水活動と、その効果検証に活用します。本部及び店舗の従業員に対しては、継続的に節水を啓発することで環境意識の高い組織づくりを目指しています。

生産パートナー工場における節水技術の導入

良品計画では、生産パートナーと連携して工場への節水技術導入による水環境負荷の低減に取り組んでいます。縫製工場では生産用水の循環利用を行い、染色工場では、生地の染色時に効率のよい浴比で染色をすることで、水の利用を減らしています。また化粧品工場では、少量の水で設備を洗浄する技術や、タンク冷却水の循環利用なども行っています。

デニムの生産工程で水使用量を削減

2022年秋冬シーズンに定番のデニムシリーズを「環境に配慮した、飽きずに長くはけるベーシックデニム」というコンセプトでリニューアルしました。
一般的なデニムは、束ねた糸をインディゴの染料に浸しては引き上げ、空気に触れさせ酸化させるロープ染めの回数を12回ほど繰り返し、濃紺色(インディゴ)に染め上げます。従来の淡色デニムは、インディゴに染め上げたデニムを何度も洗いすすぐ「ウォッシュ加工」を施して色を薄くするため、通常のインディゴデニムと比べて約3倍の水を使用していました。
2022年秋冬シーズンの新色2色のデニムは、従来の染めの工程を見直しました。「ブルー」は糸を染める回数を4回に短縮、「チャコールグレー」は染めの時間を短縮することで、染料の使用量だけでなくウォッシュ加工に使用する水の使用量を削減しました。さらに今回から全てのデニムシリーズにおいて、従来のユーズド加工、ブリーチ加工の工程も削減し、より環境に配慮したデニムになっています。

水インフラとしての 「みずから、はじめよう」活動

良品計画では、一部無印良品の店舗において、どなたでもご利用いただける無料の給水器を設置しています。世界では水需要の逼迫により、地域ごとの水リスクの高まり、格差はより顕著になると予測されていますが、逆に日本では人口の減少やボトルウォーターの普及に伴い、水道水の給水量が減ったり、水道施設の老朽化に伴う更新予算が不足したりなどの事態が発生しています。店舗が水道水を活用した地域の給水場所となることで、ペットボトルのゴミも削減し、水道水の需要増にも貢献するという水インフラとしての取り組みを開始しています。

水資源に関するデータ