Product Focus 第2回 麻

天然繊維の中でも特に丈夫な繊維と言われている「麻」。水にぬれると繊維の強度が増す性質を持っており、使い、洗うほどにやわらかく深みのある風合いに変化します。さらりとした肌触りが心地よく、無印良品の春夏シーズンを代表する素材のひとつです。Product Focus 第2回では、衣服・雑貨部の担当者に取材し、改めて「麻」の魅力を紹介します。

■無印良品の「麻」
 1980年に誕生した無印良品では、麻をブランド誕生初期から素材として採用していました。最初に発売されたのは1984年発売の「麻100%洗いざらしシャツ」。麻の中でもハリとこしが強く、ざっくりとした印象の“ラミー”を使用していました。それ以降は、Tシャツやジャケットなど、毎年少しずつアイテムを拡充し、当時はまだ高級な素材という印象が強かった麻を、日常に寄り添う価格とデザインで提案してきました。
 より良い素材を求めてさまざまな産地の麻を使用し改良を重ねていく中で、1990年代後半~2000年にかけて中国大陸産のリネンを採用、そして2005年前後に、現在も使用しているフレンチリネンに辿り着きました。産地であるフランス・ノルマンディー地方では、昼夜の温度差が大きく適度な湿り気のある自然から、丈夫なフレンチリネンが生まれます。しなやかで肌馴染みがよく、どのようなデザインにも合うフレンチリネンを採用した結果、ワンピースやブラウス、スカートやパンツなどアイテムの広がりが加速し、今では無印良品の春夏シーズンを代表する商品群へと成長しています。

■「素材のわけ」と、時代に合わせた進化
 吸水性・速乾性があり、洗濯を繰り返しても傷みにくく、着るほどよりしなやかに体になじむという点が麻の特長で、非常に夏に適した素材です。また、素材に節があることから、天然ならではの不均一さが素材の表情となって表れます。これらの素材の特長を店舗スタッフが理解し、きちんと店頭でお客様に伝えられるよう、本部と店舗が連動して商品知識の共有を行っています。
 シリーズを代表するアイテムは「シャツ」「パンツ」です。シルエットやデザインなどの仕様は、時代に合わせて変化を持たせています。今季、シャツの中でも男女ともに人気となっているのが、襟をなくした「スタンドカラーシャツ」です。パンツに関しても、年々リラックス感が高いものを求めるお声が多くなり、ウエストのボタンをなくしてヒモやゴムを採用するなど、時代の声に合わせて見直しています。また、ウェアだけでなくホームウェアも展開し、お客様からご支持いただいています。今非常に人気なのが「クルタ」です。暑い気候から学んだ形を、素材を生かして今の時代に合った形に落とし込み、より快適に過ごす提案につなげています。

■より環境や生産者に配慮した素材へ
 リネンは一年草のため、環境負荷が少ない素材ですが、より環境や生産者に配慮した素材へ進化させたいという想いから、19年春夏より、婦人のシャツやブラウス、インナーの一部でオーガニックリネンの取り扱いをスタートしています。担当者が実際に現地に足を運び、取引先と協力して進めています。今はまだ小さな取り組みですが、少しずつ拡大していきたいと考えています。
 また、無印良品では衣料品だけでなく寝装ファブリックやスリッパなど、くらし全般で麻という素材を使用しています。衣料品、生活雑貨の連携をより強め、お客様のくらしにより役立つ素材へと進化させていきたいと考えています。

■関連サイト
無印良品ネットストア 「着るほどに、好きになる、麻。」


※記事に記載している情報は、発表日時点のものです。