Product Focus 第6回 化粧水
岩手県釜石の天然水を使用した化粧水は、1997年に発売を開始しました。
発売当初から今日まで全シリーズを合わせると、展開アイテム数はおよそ80種類にのぼります。Product Focus 第6回では、生活雑貨部の担当者に取材し、化粧水の発売からボトル軽量化に至るまでのエピソードを紹介します。
■化粧水に込めた思い
「化粧水に欠かせない基本の成分が水だからこそ、とことん水にこだわったスキンケアをつくりたい。」というのが開発の出発点でした。色々な天然水を探してたどり着いたのが、岩手県釜石の鉱山跡の洞窟から湧き出す天然水です。不純物が少なく、飲料水としても使われています。この天然水は磁鉄鉱や石灰岩、花崗岩などが厚く重なりあった岩盤を何十年もかけて通ることで、雨や雪解け水が自然に濾過されたもので、不純物が少なく、飲料水としても使われています。
より多くの方々に使っていただけるよう、化粧水本来の機能として必要のない成分をそぎ落とし、本当に必要なものだけを入れて成分にこだわって作っています。
開発当時、一般的な化粧水のボトルは装飾されたものが多かったですが、成分にこだわる無印良品の化粧水は発売当初から装飾のないシンプルなデザインです。
最近では化粧水を購入する男性のお客さまも増えており、シンプルなボトルデザインは、男女問わず初めて化粧水を使用する方にとって使いやすいというお声も頂いています。
また、発売以降、お客様の「毎日たっぷりと使いたい」というお声を反映し、大容量サイズの展開を始め、今では定番のサイズになりました。化粧水を代表するシリーズで一番の売れ筋である「敏感肌シリーズ」は、「無印良品のあるべき化粧水」を意識して開発した商品であり、発売当初より多くの方にリピートいただいているロングセラーアイテムです。その他のシリーズは、その時代のニーズに合わせてシリーズのコンセプトの見直しや使用感、配合成分の見直しをおこなっています。
■環境を配慮し、化粧水ボトルの軽量化を実現
化粧水は品質保持のため、合成樹脂ボトルを使用する必要があります。しかし、廃棄物削減や地球資源の循環化を目指して世界的にプラスチック量の削減の動きが加速していく中で、「何もしないままでいるわけにはいかない」と思い、少しでも何かできることはないかと考え今回化粧水ボトルの軽量化に取り組みました。
「天然水でできている」という化粧水のコンセプトを伝えるため、「透明ボトルは継続したい」という思いがあったので、ボトルの軽量化実現に向けて別素材への変更という選択肢は検討しませんでした。例えばプラスチック以外の素材としてガラス容器も透明性はありますが、破損の恐れがある事が難点です。また、プラスチックよりも重量が重いため、輸送時のCO2排出量が増えるなど他の観点で環境負荷が懸念されるため、ガラス容器ではなく、プラスチック素材での軽量化をなんとか実現しようと考えました。
軽量化にあたり、飲料用ペットボトルのように、凹凸のある仕様にすれば樹脂量を減らしながら強度を保つことはできますが、洗面台においてノイズにならないシンプルな佇まいの円形ボトルを維持しながらボトルの強度維持と樹脂量の削減を両立する事はとても難しかったですが、お取引先様にも協力をいただき、包装容器のプラスチックを約20%削減することができました。
■今後の目標
「持続可能な資源利用」を考えたときに、パッケージだけでなく、原料・製造工程など商品開発をする上で関わるすべての工程で環境負荷の少ないモノづくりをしていきたいと考えています。また、毎日の生活の中で使うものを手に入りやすい値段で展開できるよう、基本は既存のものをよりよくブラッシュアップし、また、店頭でお客様が困ることのないよう選びやすい・買いやすい環境を整えていきたいです。これからも、よいものをさらに磨き、人にも環境にもやさしく、長くお客様に愛される商品をつくっていきたいです。