Product Focus 第7回 キッチンツール
■シリコーン調理器具について
黒のキッチンツールは、2005年にナイロン樹脂素材でデビューし 、続く2006年にシリコーン素材の展開が始まりました。シリコーン調理器具は2月に発売した「シリコーン おろし器」を含めて全部で9種類あり、調理から洗浄まで日常使いの一連の動作を踏まえて考えられたシリーズです。なかでも、シリコーン調理スプーンは無印良品のハウスウェアを代表する商品のひとつとなっています。
■ものづくりの工夫
無印良品のものづくりの3つの視点のひとつ「素材の選択」とあるように、用途に応じた素材を選んでいます。キッチンツールにシリコーン素材を取り入れた理由は、耐熱性があり、弾力性があるため、鍋の中に残った具材や汁をすくうのに最適な素材だからです。
しかし、調理器具の素材を全てシリコーンにするとしなりすぎるので、絶妙な硬さとしなり具合にするために何度も試作を繰り返し、調整を行いました。アイテムによっては、芯材も重くなりすぎないように穴を開けて軽さを出していて、微細な調整を繰り返して今の形が出来上がりました。
その他、それぞれのシリーズの中で統一感を出すために、柄のバランスにもこだわっています。柄の先端に向かって少しずつ太くすることや、角の丸みの付け方などにある一定のルールを作る事で、長さが違う他のシリーズも統一感を持って感じられるように工夫しています。
■お客様の声に耳を傾ける
2013年にIDEA PARKでプロジェクトを組み、ステンレスシリーズも含めたキッチンツール全体を見直し、今の商品展開に近い品揃えに整理しました。
IDEA PARKでは、「台所の作業スペースは限られているにも関わらず、調理道具は多い」「できるだけ少ない道具で手際よく行いたい」といったお客様の声を直接聞く事ができ、多用途のキッチンツールを開発するきっかけとなりました。
IDEA PARKのみならず、開発のきっかけから仮説を立てる時、また検証時の立ち返りにお客様の声を参考に商品開発を進めています。キッチンツールは毎日使用するものなので、お客様から頂ける声もとても多いです。たくさんの声をいただけるのは、生活者であるお客様が「もっとこうだったらよいのに」と真剣に考えて下さっているからだと感じています。
■ぜひ使って欲しいキッチンツール
「シリコーン調理スプーン」をまだ試されてない方はぜひ1度使ってみていただきたいです。
初めて購入して使った時に、使い勝手の良さに感動したことを今でも覚えており、商品開発担当としてこういう商品を作らないといけないなと感じた時でもありました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により自宅で過ごす時間が増えたことで、これまでに以上に多くのお客様が手に取って下さりうれしく思います。既にご愛用いただき、毎日の必需品にしてくださっている方も多いですが、家で料理する機会が増える中で、これまであまり料理をしてこなかった料理初心者の方にも、調理から盛り付けまで「炒める、すくう、盛り付ける」を一本で対応でき、使いやすくおすすめです。
■今後の目標
キッチンツールが毎日の暮らしのお供として、普遍的で価格バランスのよい1品になれるような開発を進めていきたいです。また、これからは環境に配慮したサスティナブルなものづくりが求められてきます。ものづくりを担う者として、地球にやさしい商品開発を行っていき、長くご愛用頂ける商品を生活者の皆様に届けたいです。これからも今ある商品をさらに強く、そして品揃えを再度検討するために、お客様や店舗の声を参考にしながら商品開発を行っていきます。