無印良品 港南台バーズ 副店長 雨霧 光寛さん・ 部門マネージャー 前 美和子さん

5月14日(金)に関東初の食品専門売場をもってグランドオープンした「無印良品 港南台バーズ」は「食べるひとにおかげさま。育てるひとにおかげさま。」をコンセプトに「食と農」「資源循環」「くらしのサポート」「まちづくり」の4つのテーマに取り組みを進め、地域や社会の課題解決を通して暮らしに役立つ存在になりたいと考えています。今回は、無印良品 港南台バーズ副店長の雨霧さんと部門マネージャーの前さんにお話しを伺いました。

■「食べるひとにおかげさま。育てるひとにおかげさま。」
 無印良品 港南台バーズは、無印良品のこれまでの食の取り組みを更に発展させ、生産者の想いを伝えるだけでなく、お客様の声も生産者に届くように、人と人との繋がりや交流を生み出す場となることを目指しています。関東地方で最大面積を誇る売場には、店舗のへそとして7m四方のキッチンカウンターを設けており、毎日のレシピ配信や役に立つ情報の発信をしています。

■協業することで見えた新しい売場
 無印良品 港南台バーズでは生鮮三品を展開するということで、協業先の選定と、決定後のすり合わせが大変難しかったです。例えば、コンセプトの共有をする際に組織編成の違いから発生するコミュニケーションのズレを調整することです。無印良品の販促物は商品のわけをシンプルなデザインで伝えるものですが、クイーンズ伊勢丹様の販促物はこだわりの商品をお客様の目にとまるデザインで伝えるものでした。販促物一つでも、考え方が異なり、お互いの良いところを残すために時間をかけてすり合わせをしました。これからもコミュニケーションをとりながら双方のレベルを高め、より良い売場環境を築いていきたいと考えています。

■良品計画にしかできないこと
 まず取り組むべき課題である「資源循環」「食と農」「くらしのサポート」「まちづくり」の4テーマに関係する横浜市の各部署に電話でアポイントメントを取るところから始め、地道にプレゼンテーションをしていきました。幸い多くの方々が私達の提案に興味を持ってくださり、「話を聞かせてほしい」という部署が段々と増えていきました。特に意識したことは、それぞれの部署に「一緒に取り組みたい」と思ってもらえる魅力的な内容で伝えることでした。無印良品のコンセプトを軸に良品計画だからできることではなく、良品計画にしかできないことを意識しました。それにより横浜市には協調する意義を感じてもらえ早期の協定締結に至りました。取組を市民の方へ広く周知するためにもニュース性の高くなるグランドオープンに協定締結を合わせることを目指し、その想いを横浜市と共有できたことも大きかったです。

■みんながあつまる「まちの台所」
 関東初の食の専門店として、お客様とのコミュニケーションの場を作りたいと考えたのが導入のきっかけでした。家でご飯の準備が始まると自然に家族が台所に集まってくるようなイメージで、無印良品 港南台バーズ自体が「まちの台所」になりたいと思っています。毎日違うメニューをデモンストレーションで配信している中で、毎日お越しいただくお客様もいらっしゃいます。今後は生産者の方や行政との取り組みも、キッチンカウンターから配信します。
 その他には「今日の一押しの魚」と題して、その日に入った新鮮な魚について中島水産様の目利きにお話しを頂き、一押しの旬の食材や美味しさの見分け方等をお客様に伝えていく予定です。

■「気づく、考える、やってみる。」
 ・【雨霧さん】心がけていたことは、言うのはタダ、社内外問わず様々な人に声をかけること、そして協力者とキーマンを見つけることでした。当初日本最大の自治体との協定は難しいと言われましたが、多くの方々の支援もあり目標としていた日に締結することができました。社内ではソーシャルグッド事業部の河村さん、横浜市では理解ある二人の課長に出会えたことが大きかったです。そのために社内での説明や横浜市へのプレゼンテーションは20回以上したと思います。
 ・【前さん】フードドライブの取り組みは横浜市との包括連携協定があったため、横浜市内17店舗との連携が必要でした。無印良品 港南台バーズは当初からフードドライブコーナーの設置が予定されていましたが、他の店舗は店舗の規模も状況も異なるため苦戦すると考えていました。しかし、同じタイミングでの始動ができたことは、エリアマネージャーやブロックマネージャー、各店舗の「やってみよう」という気持ちがあったからだと思います。今後も横浜市内の店舗と数値目標と実績の共有をしながら、イベントなど継続して実施していきたいと思います。

■地域を巻き込み、地域に巻き込まれる社員の皆様へ
 ・【雨霧さん】ネガティブなことを言う人はいますし、できない(やらない)理由はすぐに見つかります。ただ、誰に何を言われても、やり切ろうとする意思さえあればできることは自身が考える以上に多いと思います。
 ・【前さん】今回、港南区のヘルスメイトやケアセンターの皆様、タブロイド写真にご協力頂いた苅部農園様など、地域の方々とオープン前から積極的にコミュニケーションを取らせて頂きました。苅部さんは今も直接納品に来てくださるので、いつも楽しいお話を聞かせてくださいます。コロナ禍であるにも関わらず、このように地域の方々と直接コミュニケーションを取れる経験は本当にありがたいと感じています。ぜひ、このような地域の方々に喜んでもらえる楽しさを経験して頂きたいです。