Product Focus 第8回 「カレー」

「カレーライス」が主流だった日本のカレー。しかし世界には様々なカレー料理があり、そこにはその地域にしかない文化があります。今回のProduct Focus第8回は、「無印良品と言えば」と言われるほどのヒット商品になった「カレー」を取り上げます。

■世界のカレーを伝えたい
 世界の食文化を商品を通して伝えるべく、家で作るカレーのようなものではなく世界のカレーに注目し、タイカレーを発売したのがスタートです。
 アジアではスパイスを使った煮込み料理が日常的に食べられており、日本でも国民食と言われて身近な存在であるカレー。現地にはどんなカレーがあるのか、どんな食べ方をされているのか、2012年に初めてインドにリサーチへ行ったことから、さらに開発が進みました。

■朝から晩までカレー
 今はコロナ禍という事もあり、現地を訪れる事ができませんが、以前は発売の一年前にその年の商品開発テーマとなる地域に足を運び、屋台からレストランまで「カレー」と名の付くものを朝から晩まで毎食数種類食べ続けました。楽しそうに見えるかもしれませんが、これがなかなかの苦行です。しかし、すべてのカレーを食べるからこそどういう食材が使われてそのカレーの味のアクセントになっているのかを知る事ができます。何より、そのカレーが現地でどのように食べられているかを知る事でその地域の文化や暮らしを知る事もできます。
 例えば、タイのローカルレストランで強烈な味のカレーを食べました。ココナッツミルクを使っていないのでまろやかさはなかったのですが、ストレートな辛さと酸っぱさが特徴のいかにもタイらしい味のカレーでした。現地の人に聞いたところ「タイカレーの原点」と言われているそうで、これは無印良品で紹介したいと思いました。
 これが皆さんご存知「ゲーン・パー(森のカレー)」との出会いです。きっと皆さん「キノコが入ったすごく辛いカレー」というイメージだけをお持ちかもしれませんが、当時タイのローカルレストランに入っていなかったら出会うことはできませんでしたし、タイカレーの原点を知る事もできませんでした。

■カレーといえば無印良品
 現地の味を日本で再現する事は大変難しく、レトルト加工するには高温で加熱する必要があるため、タイカレーでよく使われるナスなどの溶けやすい具材は使えません。しかし、そのような制限がある中でも現地の味を生み出すのが商品開発の腕の見せ所。これからも一人でも多くのお客様に無印良品のカレーを食べていただき、「本当においしい!」と言ってもらいたいです。そして、「無印良品といえばカレー」ではなく「カレーといえば無印良品」と言ってもらえるまで、現地の味を再現する事ができるようにこれからもたくさんのカレーを開発していきます。