MUJI新宿 店長 永戸 順也さん・無印良品 新宿 店長 白濱 賢さん

■多様化する街 新宿でできること
(永戸さん)新宿駅周辺には無印良品が4店舗(MUJI 新宿、無印良品 新宿、無印良品 ルミネ新宿、無印良品 新宿ペペ)あります。駅ビルや新宿通りに面した3店舗と比較すると、MUJI新宿は離れた立地にありました。そうした中では通常の品揃え、サービスといったものが来店動機に繋がらず、また他の店舗同士でお客様を取り合っている現状を感じました。そこで今回の改装によって新宿地区で最も売場面積の大きい店舗となったMUJI新宿では、通常の品揃えやサービスでは補えない部分を、メッセージ性を持って伝える店舗にしたいと考えました。
 また、乗降客数世界一の新宿の街は、東京都心の中でも特に様々な立場の方が往来される街です。様々な立場の方々が往来されるからこそ、価値観も多様化しているので「ESG経営のトップランナー」を目指す当社の考えを表現するのにMUJI新宿という立地は適していると考えています。よって、MUJI新宿では環境、社会の為に役に立つことを考え、お客様と一緒にこれからの取組を考えていきたいと思います。こうした取組について同じ課題を感じている方たちに対して、エリア全ての無印良品が巻き込まれ、活動をより大きなものに出来ることに期待し、新宿でのESG発信をしていきます。

■スタッフを巻き込んだ店舗作り
(永戸さん)取組みのヒントは巷でも聞く機会の増えたSDGsです。まずは自身から。次に店内の全スタッフが17項目全ての名称と意味を覚えました。そこから日常で自分たちが出来る事、店舗が出来る事、お客様が出来る事を探し、考え、それに則った店舗設計の際に違和感を感じる事が無いか、様々な立場の方と協力して出来上がっていきました。
 簡単に物事が進んだ取り組みは一つもなく、皆で何度も意見を出し合い少しずつ進めていきました。今回大事にしていた事は通勤中にすれ違う人や街の看板を見て、特徴や他との違いを常に目で追いました。それを自身が調べた街の情報と合わせ、「どんな人が多く、どんなものが売れるのか」を常に検証を繰り返していました。
 無印良品には7500アイテムの商品があります。検証結果を用いることは、新しいサービスを始める時や、限られた坪数で表現する時にはとても良い手法だと思います。

■新宿のニーズ
(白濱さん)新宿には高額な商品を取り扱う伊勢丹や高島屋、ファッションに強いルミネ、マルイなど、商業施設が多くあります。ですが、手に取りやすい価格の日用品を扱う店舗は少なく、無印良品へのニーズはそこにあると考えました。
 また、遠方からのお客様が少なくなっていますので、通勤で新宿にお越しになる方に役にたつことも考えました。自動販売機は早朝や夜間にも人通りが多いことから、営業時間外の利用を目的に設置しました。
 無印良品 新宿とMUJI新宿は徒歩1分程度でとても近い距離にあります。新宿の日用品を担うのが無印良品 新宿、「ESG経営のトップランナー」を表現するのがMUJI 新宿と役割を棲み分けることで2店舗の買い回りをして頂き、両店舗でお客様のお役に立てるようにしていきたいと考えています。

■今後の目標
(永戸さん)MUJI新宿から差別や貧困、環境破壊の実状を伝えるような、訴えかけるものではなく、無印良品の取り組みやサービスを通じてそうしたことに目を向けるきっかけになるような「気づき」をお客様へ発信していきたいです。そして、いかなる立場の方にも「感じ良いお店」を作り上げたいです。
 店舗が主体となり、様々な事に目を向けて、街で起きる小さなことから大きなことまで様々な課題解決を手助けしてもらえると思ってもらえるようなお店を目指します。
 また、自分の目標としては2つあります。1つは今回の取組をきっかけにもう少し視野を広げ、自社だけの目線に捉われず、上勝町などの取り組みを元に良品計画としてどのようなことができるのかを考えていきたいです。よって、ソーシャルグッド事業部の取り組みに積極的に参加していきたいです。2つ目は、今回のゴミゼロの課題とは全く別の課題を持つ地方都市や事業部に配属され、街の方々と共に商いを通じて課題解決や新商品、新サービスの開発をすることが目標です。

(白濱さん) 今回の改装で、新宿は食品と生活小物などの日用品に特化した店舗となりました。コンセプトは「新宿のインフラ・くらしの基本をととのえる」です。お客様にとって日常生活になくてはならない存在になりたいと考えています。リニューアルオープンしましたが、まだまだコンセプトに寄り添いきれない部分もあります。お客様、スタッフの声を聞いて改善し、さらに役に立つ店舗を目指します。
 自分の目標は、まずはリニューアルした新宿店の仕入れ、売上、経費をしっかり管理し、利益が出る店舗にしていくことです。そして、新宿の街で働かれている方々へ無印良品の日用品をもっと紹介していきたいです。新宿店の近隣の事業所では無印良品の文具とゴミ袋を使っている、という状態になりたいと思います。地域へ溶け込むことはまだまだこれからです。新鮮な気持ちで取り組みます。

MUJI新宿・無印良品新宿
https://www.muji.com/jp/flagship/muji-shinjuku/