「MUJI Kitchen」 プロジェクトチーム 高橋正美さん 高野果鈴さん

 1月14日(金)、良品計画本社ビル1階に「MUJIcom東池袋」がオープンしました。毎日の暮らしを支える基本となる商品を中心に展開している中、できたてのお弁当や惣菜などを提供する無印良品で初の中食サービス「MUJI Kitchen」は、大きな注目を集めています。今回の無印良人は、その「MUJI Kitchen」を企画した食品部の皆さまを代表して高橋さん、高野さんにご登場いただきました。

■感じのよい店舗が、近くにあると嬉しい
 私たち食品部では、中期経営計画にもある「農と食」を中心に、津々浦々に店舗拡大をしていく中で、もっと毎日の暮らしに便利な無印良品の「食」とは何か、自分たちの家の近所にどんなお店があればいいかを日々、考えています。その中で、「日常使いの商品とともに、毎日の食卓に便利な食品が揃っている、感じの良い店舗があると嬉しい」という声が部内で多くあがり、健康的な惣菜やお弁当、新鮮な野菜や卵などの品揃えがあれば、更にお客さまのお役にたてるのでは、と考えてきました。そんな折に、本社ビルの1階の店舗の計画を知り、様々な部署の方々と、何をすれば役にたてるか、話し合いを重ねました。
 東池袋の地域は、池袋駅から少し離れたエリアになり、駅周辺の雑多な印象とは違い、実は公園も多く緑化が進んでおり、マンションが増えて、子育て世代の新しいファミリーが増えているエリアでもあります。一方で、近隣オフィスで働くオフィスワーカーなど外部の方と、東池袋駅周辺に住んでいる地元住民の方との交流が少なく、また、地域の人々の暮らしを支える日用品を取り扱う店舗が不足しているのが現状です。
 ぜひこの東池袋、という地域で自分たちが構想した「感じの良い」店舗を実現させ、近隣の住民の方々の役に立ちたい、という思いで、今回の商品の品揃え、サービスに至りました。

■おいしい毎日のそばに。
 (高橋さん)お腹を満たしながら、心も満たしてくれる、家庭のキッチンが果たしている役割の一部を街の中でお手伝いできたら、という思いから「MUJI Kitchen」は生まれました。惣菜、冷凍食品、日用品があたから便利、というだけではなく、旬の野菜や池袋のおいしいお店との出会い、地域のつながりが感じられる場所を、これから地域の方や生産者の方とともに作っていきたいと思います。
 (高野さん)毎日の暮らしに役立つために、日替り弁当、50種のごちそうレトルトバー、お惣菜、お米/卵の量り売り、青果・乳製品、食パンの販売をはじめました。
 こだわりの製法や、食材には専門用語も多く、分かりづらいものも多いです。なぜその製法なのか、何が他と違うのかなど、調べて、見て、食べて、足を運ぶ、を繰り返し、チームで品揃えを選定しました。
その上で、お客さまにとって分かりやすい表現で伝えることに気を付けました。特に牛乳などの仕入れ品では、選んだ理由をお客さまに伝えるため、手書きでひとことコメントを書けるよう単品POPのフォーマットを見直しました。

■商品と想いをお客さまへ届けるために
 (高橋さん)単なるものを販売することだけでなく、商品のこだわりや、生産者の情報、サービスの内容などをお客さまにわかりやすく伝えることが難しかったです。イラスト、アイコン、画像などを使い、視覚的にも分かりやすくなるよう、店内の情報の出し方にはお客さまの立場で考えるよう気を配りました。
 新サービスである「50種のごちそうレトルトバー」では、「無印良品のカレーをもっと気軽に食べていただいたり、様々な種類を試していただきたい」という想いから生まれました。「無印良品のレトルトは、満足する一品」「たくさん種類がある」ということを伝えるために、サービス名称は「50種のごちそうレトルトバー」にしました。売場でも分かりやすく壁一面にレトルトのパッケージを陳列しました。50種のレトルトの商品がバーカウンターのように出てくる様子はメディアでも多く取り上げられ、無印良品の食品の強みを生かしたサービスだと思います。

 (高野さん)「MUJI Kitchen」の想いがお客さまに伝わるように、デザイン担当として商品・サービス・売場・販促物に統一感を持たせることを意識しました。新しくなった「日替り弁当」では、「どんなお弁当があったら毎日食べたいのか」をチームで話し合い、税込500円という価格、おかずが入った時の見た目、使用する容器など購入する立場にたって、内容からパッケージまでを考えました。一方で、消費期限のあるお弁当は当日中に売り切る必要があるため、どんどん商品が減ってしまい、夕方には売場が空っぽに見えてしまうことも大きな課題でした。そこでプロジェクトメンバーとアイディアを出し合い、木製のボックス型コンテナを活用し、売場を編集しやすいオリジナル什器を開発しました。他にも様々な課題がありましたが、什器を制作する店舗設計課、店内POPを制作しているオープンコミュニケーション部、売場の陳列、演出をサポートいただいた売場開発・VMD部など、社内の皆さまから様々な知見を共有いただくことで、今回の店舗が実現できました。

■地域との「つながり」
 MUJIcom東池袋では、本社ビル1階という立地もあり、開店前から周辺地域のイベントに参加したり、近隣の企業や団体、住民の方々、豊島区の行政などとの連携を行い「フードトライブ」など様々な活動を行っています。また、店内にある「IKEBUKURO to GO」マップは、店舗スタッフが定期的に自ら周辺エリアを取材していくことで、地域の情報をお伝えできる場としていきます。働くスタッフも地域に巻き込まれて、一緒に地域を盛り上げていこうと考えています。
 さらには、「つながるコーヒー」、「つながる掲示板」、「つながる屋台」など、人と人、人と地域をつながる様々な取り組みを行っています。 「つながりたいけど、どのようにしたらいいか分からない」、「勇気が無い」・・・というお客さまに気軽に利用していただくことができる場所として、お互いのことを知り、気にかけることで、地域の活性化と共に、人と人のコミュニケーションも広げていけるのでは、と考えています。

■今後の目標
 まずは、「MUJIcom 東池袋」を拠点に、東池袋の地で働く方々、近隣住民の方々にとって便利で身近な店舗となることを目指します。

 また、「食」の領域においては、フードロスや、一次産業の衰退など、課題はまだ山積みの中、まずは、小さな取り組みのスタートではありますが、食を支えるさまざまな問題を、今後も無印良品の活動を通じて、解決できるお手伝いができれば、と考えています。