Product Focus 第10回 「足なり直角靴下」
足なり直角靴下は2006年11月から販売を始め、長い年月をかけて研究と改良を重ねているベストセラー商品です。一般的な靴下はかかと部分が120度でできていますが、かかとと同じ直角の靴下にすることでかかとにフィットし、動きによる「ずれ」が抑えられ、履き口部分の締め付けが少なくても靴下がずれ落ちにくくなりました。お客様からも「直角靴下なので、ずれにくく足にフィットする」などご好評をいただいています。
発売のきっかけは偶然の出会い
「足なり直角靴下」はチェコのおばあちゃんの手編みの靴下から生まれました。
当社会長の金井が大学での講義依頼を受けた際に知り合った方からチェコでの体験を伺い、その体験を社内スタッフに直接お話しいただいたことがきっかけでプロジェクトが始まりました。氷点下15度になる日もある東欧のチェコでは外出時に分厚い靴下を履いてブーツを履くなど足元もしっかり防寒する必要があるそうです。そんな環境に住むおばあちゃんが編んだ靴下のかかとは「直角」の形をしており、かかと部分がすっぽりと収まって生地が余ることなく、ズレ落ちにくく、とても履き心地が良いものでした。おばあちゃんが編んだこの靴下の心地良さを、もっと多くの人に体感して欲しいという思いから、手編みでつくった直角の靴下を機械編みで再現するべく、開発がスタートしました。
試行錯誤の末、開発に成功
開発を進めるも、90度にする編み方が分からず、チェコのおばあちゃんの娘さんに来日いただき、実際に靴下の手編みを見せてもらいました。その後、機械でその編み方を再現することや、工場探しに難航しながらもサンプルを作り続け、やっとの思いで「足なり直角靴下」が誕生しました。
足なり直角靴下のこだわり
無印良品は3つの視点、①素材の選択、②工程の点検、③包装の簡略化、で地球環境や生産者に配慮した素材を選び、すべての工程において無駄を省き、本当に必要なものを本当に必要なかたちでお客様に提供することを目指しています。
① 素材の選択…靴下で使用しているオーガニックコットンは、インドから一括して仕入れしています。靴下に適した素材を使い、一括仕入れすることでコストダウンを図っています。
② 工程の点検…靴下の編み立ては全て自動(機械編み)であり、編み立て後の後工程はほぼ手作業で実施していますが、できるところから自動化を進めています。例えば、今まではタグを付ける作業はスタッフが1つ1つ手作業で行っていましたが、今では自動化してミシン留めをするようになりました。※後工程とは、スチームアイロンかけ、タグ付け、袋詰めなど
③ 包装の簡略化…輸送時などに汚れがついてしまうのを防ぐためビニール袋に梱包しています。そのビニール袋の一袋に入れる靴下の数を増やすことでビニール袋の数量を削減しています。(一部の商品を除く)
品質を保ちながら、商品改良を続けています
開発チームでは、長く販売している中でお客様の声、ご要望にお応えすべく、改良・見直しを継続して行っています。例えば女性は履き口の締め付けがない靴下を好まれる方が多いので口ゴムなしの靴下を開発したり、男性は逆にフィット感がある靴下を好まれる方が多いので、履き口にゴムを挿入しずれ落ちにくい靴下などを開発したりしてきました。デザインも市場調査を重ねながらデザイナー・お取引先様と協議を重ね、新しい商品を展開しています。
他にも靴下の一部の商品は、品質を保ちながらも、より多くのお客様に手に取ってもらえるように価格を改定しました。原料を一括で仕入れ、物流の見直しなどを行うことで価格を改定し、1足230円とお求めやすい価格を実現しています。また2022年の春は昨年好評だった「綿でさらっとシリーズ」の直角靴下を2足組690円で販売予定です。毛羽を抑えた綿糸を使用し、汗の臭いを抑制しているシリーズで、お試しいただきたい商品です。
今後の目標
ひとりでも多くのお客様に履いていただき、無印良品の靴下を体感していただきたいと考えています。「こんな靴下があったらいいな」を常に考え商品開発を続け、靴下といえば無印良品の「足なり直角靴下」となれるよう、今後も暮らしの基本となるお客様の役に立つ商品の提供を目指します。