募金券でつくれる未来

社員との対談

第1回 かものはしプロジェクト×良品計画 ~3月8日は国際女性の日~
途上国に、女の子として生まれ、生きることの現実。
第1回 かものはしプロジェクト×良品計画 ~3月8日は国際女性の日~ 途上国に、女の子として生まれ、生きることの現実。

女性に生まれてきたがゆえの過酷さは、今も続いています

※こちらの女性は
被害者ではありません

永澤: 親に仕えて、夫に仕えて、女性であることが過酷過ぎます。そうした、特に女性の社会的地位の低さに対する問題意識は、カンボジアの場合はまだあまりないのでしょうか。

岩澤さん: そうですね。これはその国の文化や慣習と関わってくるので、外国人の私たちがすべてを否定することはできませんが、カンボジアでは、女性の人権というところまで、一般の人の意識が及ぶまでにはまだ時間がかかりそうです。宗教的(カンボジア人の大半が敬虔な仏教徒)な影響もあり、処女性を重要視することから、売春を強いられていた女の子は、穢れているとして疎まれ、もといた村にも受け入れてもらいにくく、被害者であるにも関わらず、さらに追い込まれることになりやすい。生きていく場所がなく、売春宿に戻る悲劇もあります。

永澤: 自分だったらとても耐えられないです。児童買春の被害者でないまでも、生まれた国によっては、女性であることがハンデ以上の意味を持つということがよくわかりました。そんな中を生き抜くカンボジアの女性はすごいですね。

岩澤さん: 実際に強いです。力も、精神も。いつも関心させられます。

武内: かものはしプロジェクトさんは、女性のための仕事を創出する取り組みもしていらっしゃいますよね。貧困から、売春という最悪の選択にいたらないように、職業訓練や雇用を提供し、お金で援助するのではなく、自立をサポートしているのは素晴らしいと思います。

自立への道を踏み出した女性は、表情にも変化が見られます

コミュニティファクトリーで働く女性

岩澤さん: ありがとうございます。女性たちは、これまでお話したように、そこに疑問を抱く余地なくひたすら働いて、それでも暮らしが良くなることはない。農村で貧困層に仕事を提供するために、ビジネスを行っている(コミュニティファクトリー事業)のですが、そこの女性も働き始めの頃は、自分に自信がないように見受けました。コミュニティファクトリーで、い草ややしの葉を使ったクラフト製品を手作りし、それが日本で売れるということは、そんな彼女たちの大きな自信につながります。カンボジア人にとって日本は憧れの国。日本人が自分の作った製品を買ってくれるなんて夢のようだと言われます。私たちは、仕事を提供することもですが、これによって彼女たちに生きる喜びを持ってもらいたいと願っています。

武内: コミュニティファクトリーでの仕事を得て、自立へ踏み出した女性たちは、表情も変わっていくと聞きました。

岩澤さん: はい。それまでの彼女たちは、過酷な労働環境にいたために辛かったり、自分に自信がなかったりしましたが、自信をつけていくことで、明らかに表情が変わり、いきいきとしてきます。

永澤: それはうれしいですね。これまでお話をお聞きしていて、辛くて深刻な現実の中、岩澤さんたちはどのように、活動に対する希望や喜びを見出されているのかな、と思っていました。ほかに、成果を実感できることにはどのようなものがありますか。

支援の必要なほかの国にも、活動を広げたいと考えています

岩澤さん: 売る側に対してはコミュニティファクトリーのような雇用支援や、ストリートチルドレンを保護する孤児院を支援しています。買う側に対しての取り組みとしては、カンボジアの警察を訓練する事業にも参画しています。これは、国連や、大きな国際NGO、また、カンボジアの内務省との連携によって進めているものですが、かなり実効性があります。やはり、きちんと犯罪として取り締まることは、買う側への抑止力になります。児童買春の、買う側、売る側、両方への働きかけをしてきて、活動開始当初より確実に被害者は減ってきていること、これが何よりうれしいですね。以前なら、「仕方が無いでしょ、貧しいんだし、子どもの買春だって無くならないよ」と開き直るような大人もいたのですが、今はそういうことはなくなりました。意識も少しずつではありますが、向上していると思います。

武内: 今後に向けての展望はどのようなものをお持ちですか。

岩澤さん: 嬉しいことにカンボジアの被害者は減少傾向にありますので、他の国に活動を広げたいですね。残念ながら、まだ世界には買春に苦しむ女性、子どもが存在しています。この問題を解決していくためには、さらに多くの人のご協力が必要です。良品計画さんの『募金券』でも、ご理解と賛同を得られるとうれしいです。

対談を終えて

武内: 現状に対応した活動だけではなく、根本解決をはかるような取り組みをなさっている点が素晴らしく、とても共感できました。コミュニティファクトリーの創設や、警察の訓練などの貢献は、かものはしプロジェクトさんが仮にカンボジアから別の場所に活動の舞台を移した後も、現地の人たちによって継続的に活かされていくものなので、非常によく考えられていると思います。はじめは、「児童買春」を、重いだけではなく、自分からは距離のある問題だと捉えていましたが、お話をお聞きしてその背景もよく理解でき、リアルに感じられるようになりました。

永澤: 児童買春についてはもちろんですが、カンボジアの女性たちが、私たちの想像を絶するような生き方をしていることを知り、衝撃を受けました。彼女たちの、別の生き方を知らず、今の生き方を受け入れるしかないというところに複雑さを感じつつも、その強さには圧倒されました。それから、母親としては、ふたりの息子に、女の子にやさしくするよう、今以上に言い聞かせようと思いました。

※役職等は対談当時のものです

かものはしプロジェクトは、2011年2月24日から5月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
593人の方から合計180,000円の寄付を集めることができました。
また、2014年8月25日から2015年2月24日の期間、
410人の方から合計157,000円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

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