募金券でつくれる未来

社員との対談

第8回 セカンドハーベスト・ジャパン×良品計画 ~10月16日は世界食料デー~
足りない?余ってる?食料の不均衡を考える
第8回 セカンドハーベスト・ジャパン×良品計画 ~10月16日は世界食料デー~ 足りない?余ってる?食料の不均衡を考える。

完璧を求める日本人と、「もったいない」

原田: 私たちも食品を販売していますが、「もったいない」と感じる場面が少なくありません。例えば、袋の中でちょっとでも割れているおせんべいだとか、棚から落下してしまって箱の角がつぶれたりした商品は売れないだとか。

菊地さん: 代表のチャールズは、最初、その日本人の潔癖さにびっくりしたそうです。言われてみると確かにそうで、割れたおせんべいの、何が不都合なんだろう、と思うんですよね。でも、私だって、自分がお金を出して買うときには、どうせなら割れてないのを選びたい。買った商品の箱がつぶれていたら、なんだか損をした気分になったり(笑)、これは日本人の性分なんでしょうかね。染みついてしまっていますが、いい性分ではありませんねぇ。

杉本: 確かに性分なのでしょうね。外国の方には潔癖だと驚かれるかもしれませんが、日本人の多くが理解できる感覚ですものね。

菊地さん: 食品を提供してくれる製造メーカーの方に、「ちゃんと食べてくれる人がいると思うとうれしい。ありがとう」とお礼を言われることがあります。実はメーカーの人が一番、廃棄に心を痛めているんですよね。

原田: その気持ち、よくわかります。これだけ環境問題が叫ばれていることもあり、いろんな意味で、残念です。

杉本: 私たちは、お店に配属されると一番先に、扱っている食品の安心・安全について言われます。食品は、無印良品で扱っている商品の中で一番安価ですが、一番厳しく管理する必要があるからです。お客様の口に入るものですから、当然のことですよね。でも、現場のスタッフは少なからず、原田と同じように「もったいない」という気持ちを持っているのも事実です。

菊地さん: 安心・安全は、何より優先されるべきです。けれど、本来の安心・安全は、原料を厳選したり、食品そのものの品質管理をしっかりすることで、単なる外見上のことではないはずですよね。

杉本: おっしゃる通りなんです。そこには葛藤を感じずにはいられないです。お客様の求めに応えていくのが私たちの仕事なので、こちらから押しつけるようなことはできませんが、何か良い提案ができないものかと思います。

菊地さん: 不揃いなものもパックした、「無選別」のお菓子も販売し、お客さんに支持を受けている無印さんならできると思います!

杉本: そうでした(笑)。がんばります。

東日本大震災を受けて

原田: ところで、3.11の震災で、セカンドハーベスト・ジャパンさんの活動に何か変化はありましたか。

菊地さん: はい。3月11日は、東京もたいへんでしたよね。浅草橋の私たちの事務所の周辺にも、帰宅困難者がたくさんいて・・・。急遽、炊き出し用のスープやパンなどを配りました。あたたかい食べものが不安な気持ちを落ち着かせると、経験上信じていましたし。

原田: そうですよね。あの日は、数時間だけで、疲弊した気がします。あの場面で、あたたかい食べものを、見ず知らずの人に差し出されたら・・・。さっき菊地さんのおっしゃっていた、「食事は、人と人とをつなぎ、ぬくもりを伝えるものでもある」という言葉がまさにここでもぴったりですね。

菊地さん: そう思います。見ず知らずの、しかも外国人が配っていたので、やはり最初は怪しむ人も多かったです(笑)。でも、この日のことがきっかけで、活動に興味を持ってくれた方もいて、後日食品の寄付や、お手伝いを買って出てくれたりしました。

杉本: すてきなお話ですね。その後、東北の被災地に向けての支援もスタートさせたんですよね。

菊地さん: 震災の2日後には仙台に向けて食品を届けました。かねてよりネットワークを持っていたので、対策本部を設置して、それから毎日4トントラックで輸送しました。個人からの寄付も受け付けて、その後福島や岩手にも届け始めました。私たちも1ヶ月は休みなく動き続けましたね。

杉本: 被災地の様子を映し出すニュースを見るにつけ、いてもたってもいられなくなった人は多いと思います。気持ちだけで現地に乗り込むわけにはいかないので、気持ちを託せるNPOさんのような存在は、私たちにとっても助かります。

菊地さん: 何かしたいと思った方は本当に多いと思います。気持ちを形にしたくて、その受け皿を自ら探す人もいました。そうした人たちの協力で、被災地へ届ける食品は70~80トン集まりました。

原田: 深刻さは被災地の比ではありませんし、性質も異なりますが、東京でもスーパーの棚に商品がなくなったりしましたよね。電力なんかもそうですが、ふだん当たり前にあったものがなくなったことで、これまでの何も不自由ない生活のありがたさがわかりました。

菊地さん: 私たちが当たり前に手に入れられるもの、しかも生きるために最低限必要なものも、思うように手に入らない人たちがいると知ることは、所有や消費が過剰になりがちな私たち自身の生活を見直したり、「もったいない」と思う気持ちを呼び覚ますきっかけになるかもしれないと思います。

対談を終えて

杉本: テレビなどのメディアを通じて世の中の課題に触れ、そのときは問題意識を持つのですが、これまでなかなかアクションにつなげられませんでした。自分とのひもづけができていなかったからだな、と今日思いました。日本でたくさんの食品が捨てられていることの陰には、日本人の気質も関係しているようなので、私自身も考え直してみたいです。

原田: 私も同じく、社会のいろんな問題と自分とが、リンクしていなかったことに気づかされました。改めて考えるきっかけになりそうです。日本人は、本来真面目で、道徳的にも、良いことをしたいと考える国民性を持っていると思います。私も、「もったいない」を解消するため、自分から改めていこうと思います。

※役職等は対談当時のものです

セカンドハーベスト・ジャパンは、2011年8月24日から11月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
117人の方から合計34,000円の寄付を集めることができました。
また、2014年8月25日から2015年2月24日の期間、
308人の方から合計113,610円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

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