募金券でつくれる未来

社員との対談

第12回 100万人のキャンドルナイト×良品計画 ~2月は省エネルギー月間~
省エネから、スローなライフスタイルを考える。
第12回 100万人のキャンドルナイト×良品計画 ~2月は省エネルギー月間~ 省エネから、スローなライフスタイルを考える。

暮らしの知恵は、人の暮らしを心地よくする

小塚:さっきのきゅうりを食べると涼しくなる話もですが、冬だとしょうがとか、身体が温まるものを食べましょう、といった、昔から伝わる様々なくらし方の知恵を、無印良品は提案しています。

池内:生活に必要なモノは、多くの場合、すでに揃っていますからね。揃っている中で、何を買うか。私たちはモノを売る立場ですが、モノを持たない生活というか、いわゆる断捨離的な暮らしのメッセージを発信してもいいと考えてますし、実際にやっていますね。

齋藤さん:なるほど。無印良品ってそう言えば・・・、と、思い当らなくもないです。

小塚:冬での提案で典型的なのが湯たんぽです。夜は冷えるから湯たんぽを布団の中に入れて寝て、朝起きたら、ほんのりあたたかいお湯で顔を洗いましょう、と。この湯たんぽ、4年前に扱い始めたころは「え?」って思う人が多かったんです。でも、今は愛用者が増えましたよね。すごく評判がいいですよ。

齋藤さん:あぁ、それはまさに、暮らしの知恵ですね。知恵を持って生活をしていくのって大事だと思います。価値判断を自分ですることにもつながります。

小塚:来期の商品開発のテーマに「モノ八分目」というのがあるんです。100%ではなく、8割くらいで十分だし、ちょうど良い、と。着色しない、まんまの素材とか、完成させすぎない。意外とその方が自由だったりします。30年前に、いわゆるコップを、"ガラス器"という商品名で販売していました。使う側の用途が広がるんですよ。買ってくれた人の発想の自由度が高まるということなんだと思います。

齋藤さん:それはキャンドルナイトの活動とも共通してますね。私たちも、キャンドルを灯して何をするか、特に言ってきませんでした。実際、何をしなくてはいけない、ということはありません。だから皆さん、自由にいろんなことを考えてくれた。あちこちでホテルやカフェが参加してくれたり、ライブが開催されたり。

池内:生活者が、どんどんモノを増やしたり、新しくしたり、どんどん便利にしたいと思っているかというと決してそうではないですよね。確かに私たちは、いろんなものを与えられてきた世代かもしれませんが、だからと言って、ものを考えたくないわけではない。生活の中には、不便な隙間を知恵で埋めて心地よいと感じることもあるんです。

齋藤さん:私もそう思います。省エネでがまん、不便でがまん、ではない。それが「スローライフ」じゃないですかね。

本当に必要なモノを考えること

池内:私は前職であるメーカーにいたのですが、自分の生活で使うモノと、仕事でつくりだすモノの間に距離を感じて、それがストレスだったんです。シンプルに、「自分が使うならどうか」で考え抜いた商品開発ではなく、そうではないアプローチで、欲しいと思わせるようなマーケティングなんですよ。一般の生活者が本質的に求めているモノを、会社の上の人ってわからないんだな、と思うことも多かったです。彼らは必ずしも普通の生活者と同じ生活をしているとも言えないですし。

齋藤さん:この会社にいらしてから、そのストレスはなくなりましたか。

池内:そうですね。良品計画は、普通の人が使う商品の開発の決定権がうんと上の層、っていうことがないですし、わからない人にわかってもらうための書類を山のように揃える必要がない会社ですからね。そういった一連のストレスはなくなりました。違うストレスがないわけではないですが(笑)。

小塚:あはは。まぁ、ちょっと、個性的な会社かもしれないですね。社内では、「自分にマーケティング」って、いつも言われてるんです。自分だったら欲しいか、自分だったらうれしいか、自分が使うならどうか、徹底的に。そうやって突き詰めていくと、「モノだけじゃないんだな」みたいなところにたどり着いたりするんですよね。

齋藤さん:それは私たちが考える価値観と重なりますね。省エネで、電気を消して、「環境のためにがまんしよう」じゃないですから。その先にある、豊かな時間を知ってほしいんです。キャンドルナイトはひとときかもしれませんが、その中で、素敵な発見をしてもらいたいと思っています。あ、今日もキャンドルの灯りでお話すれば良かったですかね(笑)。

対談を終えて

小塚:キャンドルというテーマで話さないと!と思って挑んだ対談だったのですが、すごく当たり前の大事なことを、きちんとお話しできる機会になってとても良かったです。キャンドルの灯りは、ただの灯りのようですが、すごい力があるんですよ。皆さんもお試しください。

池内:キャンドルの灯りの下で、世界平和の話をするまでには自分は至っていませんが、共感できるお話がたくさんありました。自然が好きで、星空が好きなので、東京でもときどき空を見上げてみようかな、と思いました。キャンドルを囲むのと似た、やさしい気持ちになれる気がします。

※役職等は対談当時のものです

100万人のキャンドルナイトは、2011年11月24日から2012年2月23日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
43人の方から合計8,000円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

実施中の募金券はこちら