募金券でつくれる未来

社員との対談

第42回 プラン・ジャパン×良品計画 途上国の女の子たちに、生き抜く力を。 第42回 プラン・ジャパン×良品計画 途上国の女の子たちに、生き抜く力を。

現地化を目指して、根本的な解決を

高木:具体的にどのような取り組みをされているのですか。

佐藤さん:まず、女の子を学校へ通わせて、自信を持ってもらうこと。そして、職業訓練でライフスキルを身につけてもらいます。ほかに、コミュニティ全体で早すぎる結婚の習慣を考え直すキャンペーンも行っています。

土井:その地域の文化にも関わることなので、改善には時間がかかりそうです。

佐藤さん:私たちがいずれ撤退した後も元の状況に戻らないようにするためにも、コミュニティに根付くことが必要です。根本的な解決をはかるためには、少なくとも10年くらいはかかりますね。その土地に合った無理のない方法で改善に向かうため、プランの現地職員は、ほとんどがトレーニングを受けたその国の出身者です。

高木:現地化ですね。我々も海外で店舗を展開するときは、現地の人に理解してもらうことから始めます。とはいってもビジネスなので時間はそこまでかけられませんが。

佐藤さん:プランのように途上国開発を行うNGOの活動は、現地に今までなかった概念や行動を喚起することなので、早急に結果を出そうと思わず、時間をかけることを心がけています。一方で、活動の目標と成果は企業と同じように定量評価で行い、目に見える形で結果を報告しています。

男性からの反発という壁を崩す

土井:日本でも「女性だから」ということで区別されることはありますが。お話を伺うと途上国では、生きることさえ難しいのですね。

佐藤さん:そうなんです。先進国であっても女性に対する差別や不平等がまったくないとは思いません。しかし、途上国の場合は命に関わり、貧困の再生産にもつながってしまいます。「他の文化に踏みこむのはよくないのでは?」との意見を聞くこともあるのですが、命を落としたり、学校へ行くことさえ禁じられることは、文化の問題では片づけられません。

高木:お話を聞いていると、女の子に対する不平等を解決することでいろいろなことが良い方向に向かう気がするのですが、活動への反発を受けることもあるのですか。

佐藤さん:プロジェクトを進めるときに直面する壁の一つが、男性からの反発です。自分たちの既得権を奪われるのではないかという警戒心から、自分の家族がプロジェクトに参加するのを父親たちが反対することがあるんです。

土井:なるほど・・・。そういった場合、理解を得る方法はあるんでしょうか。

佐藤さん:効果が目に見えると納得してくれることも多くあります。たとえばプランの取り組みのひとつに、小口の融資で事業立ち上げを支援するマイクロ・ファイナンス支援というものがあります。参加者のほとんどは、働いてみたいと考える貧しい主婦です。事業が成功すると家庭の収入が上がり、子どもが学校へ行けるようになります。栄養状態も改善されるので、家族全体の雰囲気もよくなる。そういった効果を実際に体験すると、父親たちも考えを変えるケースが多いんです。

土井:明るい話ですね。男性たちも、知らない文化や習慣への不安があるだけで、きっかけさえあれば良い方向に変わることができるのかもしれません。

佐藤さん:今は貧しい家庭でも、外部からいろいろな情報が入ってきます。だから、外の世界と比べ自分たちの習慣や考え方がちょっと変わっているかなと感じることもあるようです。おっしゃるとおり、きっかけさえあれば変われるんです。

高木:働く機会を得ることは、収入以上の効果があるのではないでしょうか。

佐藤さん:そのとおりです。スリランカでは、内戦後の混乱で親から放置され暴力や虐待を受けている子どもたちを支援する活動を行っていて、ボランティアとして地域に住む若者に参加してもらっています。すると集まるボランティアの90%は女性です。普段働いていない方も多いのですが、自分たちがコミュニティで何かに役に立てるということがわかると、自信を持ち、目に見えて表情がいきいきとするんです。

高木:自分の住む地域を変えていくことで、自信が身につき、変わっていく。素敵ですね。

厳しい現実の中でも、世界には希望がある

土井:活動される中で、変化を実感されることはほかにもありますか。

佐藤さん:活動するとすぐに大きな変化が見られるわけではないのですが、日々実感は得られます。チャンスとある程度の資源さえあれば積極的に行動する人たちばかり見ているので、私も勇気づけられます。人間の持つ前向きな能力はどこにいても同じなんだと、楽観的になりますね。涙するような現実も多いのですが、基本的には、世界には希望があると思っています。

高木:なんだかホッとするお話です。プラン・ジャパンさんがこれから力を入れていくのはどんなことでしょうか。

佐藤さん:Because I am a Girlキャンペーンをもっと展開し結果を出すことが一つですね。そのためにも、現地の活動と並行して、一時的ではない継続的な支援の輪も広げたいと思います。「かわいそうだから助ける」というレベルを越えたいですね。支援することで自分も元気になれるような活動をめざしています。

土井:先ほどのお話にあった、スリランカでのボランティアのようですね。

佐藤さん:支援される側もする側も、お互いができることをして、知恵を出し合いながら世の中をよくしていければ。そんな社会を実現するために私たちもまだまだ努力することがあると思います。問題を解決していくという意味ではNGOも企業も政府も変わりません。それぞれが得意なところを活かして連携ができればと思います。

高木:一般の方が何か関わる方法はありますか。

佐藤さん:途上国の女の子の早すぎる結婚や児童労働について取りあげた映画の上映会など、イベントを各地で開催しているので、ぜひ参加してください。日本の状況とはあまりに違うので、まずは知ることから始めてほしいと思っています。

対談を終えて

土井:ともすれば暗くなりがちな問題を、現実を受け止めた上で前向きに捉えていらっしゃるところが素晴らしいと思いました。プランさんのウェブサイトにも雰囲気が現れているように、「がんばっている姿にこちらも勇気づけられることがある」という実感をうかがえてよかったです。私たちも協力できることが何なのか、これからいろいろと知っていきたいと思いました。

高木:活躍の機会を女の子に与えてあげることで周囲が変わるという、いい活動だなと思いました。人を育てるための支援という目標がしっかりあり、ターゲットがあり、結果を検証しながらプロジェクトを進めていくという手法は、ビジネスのようだと感心します。寄付が根付くために、「かわいそう」ではなく当たり前のこととして受け入れ協力できるようなプログラムも必要だろうし、私たちも日常的に考えることが必要だと思います。

※役職等は対談当時のものです

プラン・ジャパンは、2013年11月25日から2014年2月24日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
214人の方から合計84,000円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。

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