募金券でつくれる未来
社員との対談
第47回 日本ホスピタル・クラウン協会×良品計画 病気と闘う子どもたちの心に寄り添う。
社会貢献活動を行う団体の活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第47回は、クラウンが病棟へ訪問することで闘病生活を送る子どもたちに笑顔を届ける日本ホスピタル・クラウン協会さんにお話をお聞きしました。
- 病気と闘う子どもたちへ、笑顔という希望を届ける
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クラウン(道化師)がマジックやバルーンなどを使った多彩な芸で病院に笑顔を届けるホスピタル・クラウン活動。一緒に遊んで笑顔を引き出すことを通じて、闘病生活を送る子どもたちの「子どもらしさ」を開放する、とても重要な役割を担っています。子どもだけでなく、周りを取り巻く親族の方や、病院の方々の頬が緩むことも。病院に笑顔という希望を届ける、ホスピタル・クラウン活動に迫ります。
プロフィール
日本ホスピタル・クラウン協会
日本ホスピタル・クラウン協会は、欧米では文化として根付きつつあるホスピタル・クラウンの活動を日本で広めていくことを目的に活動をしています。病院を訪問し、エントランスやプレールームでショーをするだけでなく、ベッドサイドまで訪れクラウンの笑いや楽しさで子どもを中心とした長期療養の患者の創造性を膨らまし、能動性を引き出し、社会性を取り戻すお手伝いをしています。
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種山 浩美さん
日本ホスピタル・クラウン協会
東京事務局2008年にNPO法人日本ホスピタル・クラウン協会の認定クラウンとして活動開始。2010年に(有)プレジャー企画入社。「クラウンたねきち」として活動しながら、協会事務局も併任。過去の業務経験や趣味、子育てなどの経験が、すべて現在のクラウン活動や事務局業務に生かされていることを実感している。夫と高校1年の息子に支えられて、現在も様々なことにチャレンジ中。
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樋口 直人
良品計画
衣服雑貨部 子供服カテゴリーマネージャー1997年入社、無印良品丸井吉祥寺店に配属。各地店舗を経た後、店長として2年、エリアマネージャーとして4年間勤務する。2007年に本部に異動、衣服雑貨部でMD計画担当として商品開発に携わり渡英。販売部と商品部の経験を活かすべくロンドンに2年間駐在。さらに中国で黎明期の中国事業に携わったのち、2010年に帰国。2014年2月より13回目の異動で現職。海外駐在時の体験に基づいたグローバルな商品開発に取り組んでいる。
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小塚 文成
良品計画
企画室 環境広報担当1997年1月良品計画に入社後、中京エリアの3店舗にて店長を経験。2004年2月広報室(当時) へ配属となり、2005年9月より現職。主に、企業情報や事業活動などを外部へ発信する広報・PR業務を担当。1児の父親。
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子どもたちが主役の時間を
樋口:ホスピタル・クラウンは欧米で広まっている活動という印象が強いのですが、日本でも定着してきているのでしょうか。
種山さん:現在、定期訪問している病院の数は63か所です。全国にある病院の数を考えると、定着と言い切れるほどではありませんね。もちろん、活動を始めたばかりのころと比べると、周知はされてきています。
小塚:お医者さんとか看護師さんではなく「クラウン」。変化球的な存在に感じますが、病院でどういう役割を果たしているんですか。
種山さん:まず、病院での生活って、どうしても受動的なものになりますよね。治療や食事の時間はもちろん、起きる時間も寝る時間も決められている。病院での生活というのは、決められた規則に従わなければいけないという側面を持っているんです。
樋口:知人のお見舞いなんかに行くと感じますが、入院生活ってすごく退屈でもあるわけでしょうし。そのうえたくさんの規則に縛られてしまうとなると、遊びたい盛りの子どもなら、より一層凄まじいストレスのように思えます。
種山さん:そうなんです。だからこそ、新人クラウンへの研修でも教えるのですが、クラウンと遊ぶ時間は、必ず子どもたちが主役になるように心がけているんです。遊ぶか遊ばないかも、能動的に子どもたちに決めてもらいます。
小塚:遊ばないっていうこともあるんですね。確かに「クラウンが来たから遊ばないといけない」だと、余計に疲れちゃいますもんね。
種山さん:他にも、病院で活動するには衛生管理が最も重要なので、必ず子どもたちがいる病室に入るときと出たあとできっちりと手を消毒します。けれども、その姿は子どもたちに見られないように気を配ります。クラウンの行動が子どもたちにストレスを与えてしまっては、訪問する意味がないんです。
樋口:確かに悪意はなくても、子どもが見たらショックですよね。
種山さん:ええ。ホスピタル・クラウンの役割は、子どもたちに笑顔を届けることです。だからこそ、主役である子どもには丁重に気を使う必要があります。相手に合わせたパフォーマンスをお届けすることは、クラウンとして高いレベルの技術が必要ですし、そういった舞台でこそ、クラウンの持ち味が最大限発揮されます。
「子どもたちのために」という想い
樋口:メンバーの方々は、もともと大道芸の経験者や、プロのパフォーマーが多いのでしょうか。
種山さん:名古屋には、団体の母体となっているクラウンの養成と派遣を行っている会社があるので、名古屋を中心とした中部地区で活動しているメンバーはクラウンとしての現場を持ちながら病院に行っているという人もいます。逆に言えばそれ以外の地域で活動しているメンバーは、ほとんどが未経験から養成講座と研修を経てクラウンになった人材ですね。
小塚:未経験の方がゼロからクラウンになっていくんですね。養成講座では、どういったことを習うのでしょう。
種山さん:まずはサーカスなど一般的なクラウンの役目や、病院での役割。病院で必要な衛生観念。さらにはパフォーマンスの技術や、子どもたちへの接し方も教えます。あと大切なのがキャラクター開発ですね。クラウンのキャラクターは、その人らしい性格や人間性から生まれてくるものなので、自分自身の性格や特徴を深くみつめ直すことをします。
樋口:元々の性格など、パーソナルな部分が関係してくるのですね。
種山さん:はい。私の場合は「たねきち」という名前でクラウンをしていますが、男の子っぽい性格のクラウンです。これは私が小学校低学年ぐらいのころ、活発で男の子みたいな性格だったので、そういう部分が基になっていますね。
小塚:種山さん自身はどういったきっかけでホスピタル・クラウン活動に参加するようになったのですか。
種山さん:うちの団体の理事長が書いた本を、病院の待合室でたまたま手に取ったことがきっかけでした。ホスピタル・クラウンという活動を知ってはいたのですが、あくまで海外のお話だと思っていたので、日本で活動をしている人たちがいることに衝撃を受けまして。その後、講演会に足を運んだりしているうちに、当時は関東での病院訪問が始まるタイミングが重なったこともあって、割と急激に巻き込まれるような形で参加するようになりました。
樋口:では、大道芸に興味があったわけではなかったんですね。
種山さん:そうですね。大道芸というよりは、ちょうど子育ての最中で子どもというものに興味があった時期でした。息子の同級生に、いわゆる育児放棄で施設に入ることになった子どもがいたことなども影響して、子どもたちに対して出来ることを探すアンテナは張っていましたね。
小塚:ホスピタル・クラウンの活動に飛び込む方というのは、そういった子どもへの想いをきっかけにされた方が多いのでしょうか。
種山さん:はい。色々な人がいますけれど、子どもが好きだったり、あるいは身近で闘病生活を送っている人や、子どもの頃入院した経験がある方なんかも割と多いです。自分が貢献できることは何だろうと探している人にとって、ぴったりとはまる活動なのだと思います。