募金券でつくれる未来
社員との対談
第53回 ハナラボ×良品計画 女子学生を、未来の社会変革の担い手に。
社会貢献活動を行う団体の活動を、良品計画の社員との対談を通してお知らせします。第53回は、女子学生自身による社会課題の解決プログラムを通じて、未来の社会変革の担い手を育んでいる、NPOハナラボさんにお話をお聞きしました。
- 世界的に見ても男女格差の大きい国、日本
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世界経済フォーラムの調査によると、男女格差指数ランキングにおける日本の順位は145ヶ国中101位。先進諸国の中では、非常に男女格差が大きい国と位置づけられています。出産を機に仕事を辞める人は、実に5割以上。この状況は20年以上も続いており、女性が社会で能力を発揮するのは、とても難しい状況です。一方で、日本は教育水準が非常に高い国。女性たちが秘めている能力を発揮できれば、社会には大きな変化があらわれるはずです。女性が力を発揮することの大切さとは。そしてそのために、私たちにはどんなことを知り、考えていくべきなのでしょうか。
プロフィール
ハナラボ
ハナラボは、社会課題の解決を通して、女子学生の創造力やリーダーシップを育むNPOです。「ヨコハマハコいりムスメプロジェクト」などに代表される社会課題解決プログラムや、女性の新しい働き方を女子学生自ら発信するWebマガジン「ハナジョブ」の運営など、女子学生自身が主体的に参加する活動を通じて、未来の社会変革の担い手となる女子学生を育てています。
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角 めぐみさん
ハナラボ
代表理事
武蔵野美術大学/東京女子大学 非常勤講師両親の離婚をきっかけに「女性として生きる、働く」ことに関心を持つようになる。東京女子大学卒業後、IT企業を経て、武蔵野美術大学にてコミュニケーションデザインを学ぶ。2008年に「女子学生が自分の可能性を広げ、勇気を持って一歩踏み出すこと」を応援するため、女子学生ためのWebマガジン「ハナジョブ」をリリース。「女子学生を社会変革の担い手に」することを目指し、2012年にNPO法人ハナラボを設立。メディア運営や地域課題の解決に取り組みつつ、女子学生の創造力とリーダーシップを育んでいる。
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川村 和菜
良品計画
総務人事担当 人事企画課2008年入社。無印良品 アキバ・トリムに配属後、茨城県の店舗にて店舗スタッフとして勤務。2010年に兵庫県の無印良品 つかしん店長として着任。2011年9月より現職。主に新卒採用や店舗スタッフの採用支援などを担当。
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鈴木 里深
良品計画
販売部 Found MUJI 青山 店長2009年入社。無印良品 静岡に配属後、岐阜、名古屋の店舗を経験。2011年に無印良品 大津西武にて店長として着任。2011年のオープン時よりFound MUJI 青山での勤務を志望し、2014年9月より現職。「お客様の記憶に残る応対」をテーマに掲げて店舗運営に取組む。「探す、見つけ出す」というFound MUJIの姿勢をお客様へお伝えすべく、勉強の日々を過ごしている。
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女性が能力を発揮できる社会になるためには
鈴木:「一般職にするか、総合職にするか」という選択肢は、女性だけが就職のときに意識しますよね。私が学生の頃から、周りにその悩みを抱えている友人はたくさんいました。
角さん:活動を始める少し前に、学生の生の声として「一般職か、総合職か」という悩みを聞いたときはとても驚きました。私が大学を卒業してから10年以上経ち、色んな職業選択ができる時代になったのに、学生たちはまだこのテーマに悩まされているのか!と。
川村:私は新卒採用の担当をしているのですが、一般職と総合職で悩んでいるという声は、今でも女子学生の方からよく聞きます。男性からはまず聞かない悩みですし、状況が長い間変化していないことに、疑問を感じます。
角さん:日本の女性は教育水準が非常に高いですし、能力がある方はたくさんいらっしゃいます。ただ同時に、総合職で働く自信がないという声も多く寄せられています。自分の能力に対する過小評価が、なかなか社会で能力を発揮するための第一歩を踏み出せない事態につながっているんです。また、リーダーシップを取る場面ではつい男性に譲ってしまうなど、性別による役割意識が根付いてしまっているという要因も大きいです。状況を変えていくためには、まずは少しずつ女性自身の意識を変えていく必要があります。
鈴木:女性らしさを発揮しながら、男女ともに調和して働いていくことも大切だと感じています。性別を問わず活躍できる社会に向けた、性別の壁を越えた意識的な働きかけ、と言いますか。
角さん:ハナラボでは、女子学生が地域社会や企業の方と協働し、社会課題を解決するプロジェクトに参加してもらいます。彼女たちがさまざまな成果を出していくことが、女性の持つポテンシャルを知ってもらうきっかけにもなっています。女性の能力について広く知られていくことが、女性活躍の最初の道筋をつくっていきます。
川村:違う目線で言うと、どういった手段で女性の能力を引き出せるかを考えていくということが、とても大切になってきますね。
角さん:はい。男性でも、たとえばデザイナーの方などには、自由に発想を広げていく力や、すぐに変化できる柔軟性など、一般的に女性的と思われがちな資質を持っている方がたくさんいます。男女問わず一人ひとりの資質を上手に活かせる社会をつくっていくということが、大切だと感じています。ある調査では、一人ひとりが自律型で動く組織をつくるのは、男性よりも女性リーダーの方が得意という結果も出ています。女性がリーダーシップを発揮できると、社会は大きく変わるのではないかと思います。
女子学生の力を活かすプロジェクト
鈴木:学生の方が参加されているプログラムの内容を、具体的に教えていただけますか。
角さん:代表的な企画のひとつが「ハナジョブ」というWebマガジンです。社会で活躍している女性の姿を、女子大生自身が取材し、記事として発信しています。参加する女子学生にも、発信された情報を受け取った人にも、自分らしい働き方について知り、考えていくきっかけづくりになっています。
川村:私も学生の頃、先輩や周りの人がいきいきと働いているのを見て、社会に出て何かを実現していきたいという想いにつながりました。実際に社会で活躍されている方について知ることは、次につながる大切なステップだと思います。
角さん:もうひとつの柱となっているのが、地域や企業と協働し、社会課題を解決するさまざまなプロジェクトです。たとえば「ヨコハマハコいりムスメプロジェクト」という、横浜にある大佛次郎記念館を活性化するための企画があります。大佛次郎は昭和の文豪ですが、若い世代の認知度が低く、記念館では開館当初の10分の1ほどにまで入館者数が減ってしまいました。そこで、女子学生が主導となって、若い世代にも来館してもらえるようなアイデアを色々と実行していく・・・というプロジェクトです。
鈴木:難しそうで、そして面白そうな企画ですね。どういったアイデアが実現したのでしょうか。
角さん:毎年3~4つのアイデアを実行するのですが、そのうちの一つに「食を通して記念館と地域をつなげる」をテーマにしたものがありました。地元のパン屋さんやレストランに働きかけて、大佛次郎に関連したメニューを開発してもらったんです。そういった商品は特別企画として期間限定で動き出すことが多いのですが、中には好評を得て、今でも継続して売られている商品もあります。地域とのつながりを強化して一緒に盛り上げていくということが大切ですから、継続して大佛次郎を知ってもらう・興味を持ってもらうために役立つ商品ができたのはとても良い成果でした。ほかにも「大佛次郎記念館で結婚式をやりたい!」というアイデアも実現しました。
川村:斬新なアイデアですね!普通の社会人ではなかなかできない発想ではないでしょうか。
角さん:学生たち自らの手で提携してくれる企業さんを見つけて、まずは学生がドレスを着て写真を撮ってみたんです。すると、和洋折衷な建物の素敵さが写真ですごく際立つことがわかりました。結果、今ではフォトウェディングの会場として大佛次郎記念館を使えるようになりました。新しい記念館の使い方を創出できたんです。
鈴木:女子学生ならではのアイデアが、記念館の在り方そのものを、大きく動かしたんですね。すごいです。
角さん:記念館を運営している方々は、やはり忙しいですし、当たるか当たらないかわからないプロジェクトに積極的に取り組むことはどうしても難しいんですよね。だからこそ女子学生たちのアイデアと実行力があれば、新しいことに取り組めますし、いいアイデアは継続してどんどん次につながっていきます。