募金券でつくれる未来
社員との対談
第60回 Arrow Arrow×良品計画 仕事も子育ても諦めない、自分の未来を選択できる社会へ。
子育てと仕事を両立している社員が企業にとってもプラスの影響に
山田:お恥ずかしいのですが、過去にスタッフから「結婚した」「妊娠した」と聞いた際に、「ではいつまで働くことができるのだろう」と少なからず危惧した自分がいました。でも自分に子どもができると、そういう見方はしなくなるものですね。また実際に、子育てしながら働いている皆さんは限られた時間の中でとても効率よく働いています。自分の中で時間配分がしっかりとできているからでしょうか。
堀江さん:企業の方のそうした不安を払拭することも私たちの活動の目的のひとつなのです。また、これから仕事と子育てを両立したいと考える社員の方々はますます増えると思いますし、そうした方々に、安心してくださいと背中を押すことも私たちの活動のミッションですね。
河合:良品計画の場合は出産されて職場復帰された先輩が多くて、そんな先輩達の姿を見ると、自分も将来的にそうあれるのではないか、という希望的観測を持っています。
堀江さん:実はそうした、職場復帰された方の姿が企業にとっても良い影響を与えていることもあるのですよ。仕事と子育てを両立している当事者の皆さんが限られた時間内で効率よく働いている姿は、残業が美徳と教えられてきた日本企業の体質にとっても新風を吹き込むことになり、チームメイトにとっても、助け合いの精神が生まれ、結果的に古い体質の改善と社内間のより強固な絆へとつながります。結婚・出産・育児をまだ経験していない社員にとっても、ゆくゆくは、自身も通る道になるかもしれません。モデルケースの数が多ければ多いほど、河合さんがおっしゃる通り人生設計のシミュレーションにつながるとともに、企業にとっても一人ひとりの働き方を改めて考え直すことができる良い機会になると思います。最近では女性活躍推進法なども施行されて、働きながら子育てをする社員に対する職場環境も少しずつ整いつつあります。そうした制度も追い風に、出産や育児でお困りの企業や社員の方をさらにサポートしていきたいと考えています。
河合:確かに、産休から職場復帰した女性の働き方を見ると、時短でありながら時間内に業務をちゃんと遂行していて、しかも周りに甘えていない。その姿勢に私たちも刺激を受けますし、チーム内のコミュニケーションなどもさらに密になりました。
堀江さん:中小企業の場合は、まだそこに追いつかない、というのが現状なのです。「なぜ時短の必要があるのか」「30分、1時間早く退社したくらいで、何の違いがあるのか」と思ってしまう企業さんも多いのです。働きながら子育てする社員にとっては、その30分、1時間があれば、保育園にお迎えに行けますよね。それがどれだけ重要なことか、中小企業では、まだその理解が十分ではないので、私たちの活動でその距離を少しでも縮めて相互理解のお手伝いができたらな、と思っています。
山田:Arrow Arrowさんの活動が、企業および、仕事と子育ての両立を希望する社員の方にとってプラスにつながっていることはよく理解できました。では、パートナーの立場から、仕事と子育てを快適に両立させてあげられる手段としては何があるのでしょうか?なるべく妻だけに負担がかからないように子育てをしているつもりですが・・・。
堀江さん:子育てについても、働き方についても、夫婦間でしっかり対話することではないでしょうか。ご夫婦の母親が専業主婦であったか、勤め人であったか、それだけでもお互いのバックグラウンドは異なるし、当然子育てをしながら働くことについても考え方も異なるわけです。お互いの進む道を諦めないためにも、それを理解・許容し合い、かけがえのない"パートナー"になるためにしっかり話し合うことが重要だと思います。山田さんの場合は、まず現在の子育て初動の時期に、夫婦が納得する家事・育児スタイルを確立しておくことが重要だと思います。
山田:なるほど、企業だけではなく家族の協力もあってこそ、仕事と子育て、どちらも諦めない社会が実現するのですね。たとえば、無印良品には非正規社員も数多くいます。彼女たちの中にも仕事と子育てを両立したいと考えてる方はもちろんいると思うのですが、そうした立場の方の職場復帰についてはどのようにお考えですか。
堀江さん:実は、産休・育休手当は正社員だけではなく、一定の要件を満たしていれば非正規社員やアルバイトの方でも取得できるし、職場復帰も可能なのですよ。ただ、まだ制度が浸透していないことにより前例が少なく、実際の運用に至るのがなかなか難しいというのが現状のようです。今後、こうした課題に対するサポートも重要になってくると痛感しています。
企業にも次世代にも明るい選択肢を
河合:先ほど、女性活躍推進法の施行などによって職場環境が改善されつつあるとのお話を頂きましたが、それでもなおかつ出産や育児と、仕事との両立で悩んでいらっしゃる方が多いと思います。そういった方々が一歩踏み出すきっかけは何だとお考えになりますか?
堀江さん:私の場合は、小さな娘の存在がきっかけになりました。この子が仕事を選ぶ立場になった際には、私が抱いたような葛藤を抱いて欲しくない、進みたい道を選択できる時代であってもらいたい、と考えたのですね。「今」の自分が諦めたら良いのではなく、「今」の自分たちが働き方を諦めないことで、次世代を担う方たちが働き方を柔軟に選べる社会が実現するかもしれません。そんな未来を視野に入れることも、きっかけのひとつになるのではないでしょうか?次世代の働き方をつくることができるのは、今、仕事をしている私たちにほかなりません。一人ひとりがロールモデルになる意識を持つことが望ましいですね。
山田:そうしたモチベーションがあれば、何が何でも自分たちが次世代のお手本にならねば、と思いますね。そんな方が一人でも増えて多様な働き方を次世代に伝えることができたら、次世代が成長して働くようになる頃には、仕事と子育てを両立したいと考える社員に対する企業の理解も変化していることでしょう。改めて、今後の活動の目標を教えていただけますか?
堀江さん:私たちの世代だけではなく次世代の方々も生き方・働き方を選択できる社会の創造を目指して、私たちの事業を周知・拡大させていきたいと思います。そして、仕事と子育ての両立を実現させてあげられるのは雇用主である企業にほかならないことから、企業のバックアップも時代のニーズに対応しながら引き続き進めていきます。企業も社員も千差万別なので、当然、生き方や働き方も千差万別ですよね。働き方、と言いましたが、中には専業主婦を選択する方もいらっしゃると思います。専業主婦ももちろん素晴らしい職業のひとつです。それでももし彼女たちが社会復帰したいと思うスイッチが入った時には私たちの存在を思い出してくれたら嬉しいですし、そんな方々にも幅広く対応できるよう、プログラムの充実をさらに図っていきたいと思います。今後も、企業や社員はもちろん、次世代までも選択肢あふれる社会の創造を目指して、Arrow Arrowだからこそできるサポートを行っていきたいと思います。
対談を終えて
山田:昨年新しい家族ができたばかりの私にとっては、保活のお話はまさにタイムリーなトピックでしたし、妻や私の働き方、子育てについても改めて考えさせられる良いきっかけになりました。また、対談の中で、店長時代にスタッフから妊娠・出産を告げられた際、まず「いつまで働けるのだろう」と考えた、と発言しましたが、それについても過去の自分の理解が足りなかったのだ、と反省しました。今なら心からおめでとうと祝福することができます。子育てをするスタッフが周囲のスタッフに気兼ねなく、心地よく長く働いてもらうためには、上の立場にいる者が率先してスタッフを理解しなくてはならないのですね。今後もそうした意識を強く持って、すべての立場の者が働きやすい職場環境づくりに努めていきたいと思います。
河合:私は子どもができても仕事を続けたいと考えているので、育休や産休のお話をお聞きできて大変勉強になりました。特に、保活の現状と対策については目から鱗でした。いろいろな意味で知ること、そして備えるということは、まだ親の立場でないとしても大事なのですね。今回のお話を受けて、出産・育児は人生のステップアップにつながることなのだ、と改めて痛感しました。私もいつか子どもを授かった際には、職場のパワフルなワーキングママを見習ってしっかり仕事と子育てを両立したいと思います。
※役職等は対談当時のものです
Arrow Arrow
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Arrow Arrowは、2017年2月24日から8月24日の期間、
無印良品ネットストア「募金券」で募金を実施し、
218人の方から合計18,200円の寄付を集めることができました。
ご協力ありがとうございました。